私も左耳が聴こえませんが、うまくやっています。 ~ NHK朝ドラ『半分、青い。』
NHKの朝ドラ、ここ数年でよく見るようになりました。
前作の『わろてんか』は、私が好きなお笑いの話。
気分が沈みがちだった時期だったので、笑うことで元気が出ることを教えてくれました。
そして、現在放送中の『半分、青い。』。
まだ2週目で始まったばかりですが、とても興味があります。
なぜなら、ヒロインと同じく、私も左耳が聴こえないという共通点があるからです。
私の場合は「左耳感音難聴」という病名がついています。
左耳が聴こえないのは当たり前だと思っていた
左耳が聴こえないのに気付いたのは、幼稚園のころ。
『半分、青い。』第9回と同じように、弟に耳に向かって声を出してもらったのを覚えています。
そして、「人間の左耳は聴こえない飾りのようなものなんだ」と、当たり前のように思っていました。
小学校入学後に異常が見つかる
その後、小学校入学後に行われる聴力検査で異常が見つかりました。
隣町の耳鼻科に行き、精密な検査を受けて、左耳がほぼ完全に聴こえなくなっていることがわかりました。
それに加えて、原因は不明であり、当時(1980年代後半)の医療技術では治療することはできないと言われました。
私自身はそれほど深刻に受け止めてはいませんでした。それが当たり前だと思って生きてきたので。
一方、両親はおそらくかなり深刻に受け止めていたのかなと思います。
『半分、青い。』第10回に描かれている両親の反応がそうでしたし、今は私が2人の子どもの父親なのでそう受け止めるだろうなと思います。
日常生活は問題なく送れています
このように診断されましたが、日常生活では致命的に困るようなことはありません。
ドラマにもあったように、
- 音がどこから出ているかの方向がわからない
- 左側から話しかけられてもわからない
- 比較的大きい声で何度か声を掛けられてもわからないことがある。
- 気配がわからない
- 例えば、後ろから自転車が来ることがわからないことがある。
ということはあります。
子どものころは、これをきっかけに友達にからかわれたこともありましたが、事情を話しました。
大人になってからは、職場の上司や同僚などにこのことを話すようにしています。
デスクワークの仕事なので、片耳失聴が大きな問題になることはありません。大きい音が出る工場などの仕事は難しいかもしれませんが。
地味に気を遣うのは、居酒屋のカウンターやテーブルでどこに座るかですね。
私の家族の受け止め
そして、今の妻と付き合うときに話をしたところ、すんなり受け止めてくれて安心しました。
2人の子どもたちにはまだきちんと話していなかったかと思っています。
幸いなことに、『半分、青い。』を気に入ってくれて、録画したものを学校から帰ってきた後に見ているので、それに合わせて話そうと思います。
残った右耳を大事にしよう
右耳は正常に聴こえているので、これは大事にしないといけないと思っています。
そして、時間があれば、手話を勉強してみたいという思いもあります。
大学に手話サークルがあったので、これに入っておけばよかったという心残りがありますね。
最後に
このような方は、意外にたくさんいると聞いています。
私のように物心つく前に失聴しているのではなく、ある日突然聴こえなくなった方もいると思います。
ショックが大きい方もいると思いますが、こうなってしまったことはしょうがないので、うまく付き合っていきましょうね。
ドラクエの「にげる」、麻雀の「おりる」
ドラクエの「にげる」と麻雀の「おりる」。
私にとって、どちらも似たようなエピソードがあります。
ドラクエの「にげる」
フジテレビのCSチャンネルに『ゲームセンターCX』という番組があります。
よゐこ・有野晋哉さんがTVゲームをプレイする様子を放送している番組です。
この番組をたまたま見ることがあり、このときは『ドラゴンクエスト』をプレイしていました。いわゆる『ドラクエ1』です。
ドラクエは1~6くらいまでやったことがあり(最後までクリアしたのは2つくらい)、懐かしいと思いながら見ていました。
戦闘シーンを見ていると、有野さんが「にげる」を多く使っていることに気付きました。
そして、「自分はドラクエで『にげる』を使ったことはほとんどない」と気づきます。
使ったことがないというよりも、「頭の中に選択肢として浮かんでこない」「視野に入っていない」と言った方が正しいかもしれません。
自分のこれまでの生き方を振り返っても同じだなと思いました。
- こうだ!と思った方向に向かって前に進む
- 一方で、途中で軌道修正するのが苦手
- そして、撤退することを考えることはない
もう一つ、同じようなことに気付かされた場面があります。
麻雀の「おりる」
これもテレビの話で、麻雀番組を見たときのことです。
麻雀番組では、4人が麻雀を打つ様子に加えて、アナウンサーによる実況も放送されます。
番組を見ていて、実況の方が「○○さん、おりましたね」ということを言っていました。
このとき初めて「おりる」という言葉と意味を知りました。
麻雀を知らない人でもわかるように説明すると、
自分が勝ちに向かうよりも、相手に負けないようにする方が得策と判断して、勝負の舞台から降りる
という感じでしょうか。*1
それまでパソコンや対人で麻雀を打つことがありましたが、一度もおりたことがありませんでした。
上の「にげる」と同じで、頭に浮かんでこなかったです。*2
「にげる」「おりる」は実は有効な戦術なのかも
それ以降、自分で麻雀をするときにおりるようになりました。
そして、勝つことが増え、「おりる」ことが有効な戦術だと気付きます。
しかし、実生活では「おりる」を実践したことはありませんでした。
「にげる」も同じで、実践したことはほとんどありません。
しいて言えば、仕事でのストレスが限界に達してしまい、やむなく休職したことでしょうか。
でも、これは自分の意志で「にげる」「おりる」を選択したとは言いにくいです。
今後の生活や仕事では、「にげる」「おりる」も一つの選択肢だということを頭に入れて行動したいと思います。
もちろんゲームと同じようにはいきませんけど。
中学~高校の数学の中で接線の定義は一貫しているのか?
現在、大学初年度レベルの微分積分学の教科書を読んでいます。
微分法に関する項目では、どの教科書でも必ず曲線における接線の方程式の求め方が出てきます。
高校数学でもこれは出てきます。
「曲線 の における接線の傾きは で表される」ことを使って、接線の方程式 を求めるアレです。
ここで気になったことが出てきました。
中学~高校の数学の中で接線の定義は一貫しているのか?ということです。
手元にある資料を見たところ、中学~高校の数学で接線について学ぶ場面は5つあることがわかりました。
(1) 中学で出てくるのは円の接線
「接線」という用語は、中学数学で初めて登場します。
具体的には、円の接線という形で、以下のように説明されます。
直線が円と1点で交わるとき、この直線は円に接するという。
また、この直線を接線という。
合わせて、円の接線が接点を通る半径に垂直であることなども学びます。
中学で接線の概念が出てくるのは、円に関するものに限られるようです*1。
(2) 高校数学では、まず放物線(2次関数)の接線から
数学Ⅰの2次関数では、放物線の接線が出てきます。
手元の参考書*2によると、次のように説明されています。
2次関数 の判別式 を考える。
のとき、2次関数のグラフと 軸は1点で接するといい、その共有点を接点という。
これを利用して、放物線と直線の接線の関係が次のように説明されます。
放物線 と直線 の共有点の個数を調べる。
そのために、2本の式から を消去して得られる2次方程式の判別式 を考える。
のとき共有点は1個となり、直線 を放物線 上の点*3における接線という。
(3) 数学Ⅱでは円の接線を方程式で書く
数学Ⅱの図形と方程式では、円とその接線の方程式を記述します。
ここでは、中学で学習した円の接線の定義を思い出して、次の2つの方式を使って、円の接線の方程式を求めます。
- 円の方程式と直線の方程式を連立させて得られる2次方程式の判別式が0であることを使う。
- 円 上の点 における接線の方程式 が得られる。
- 円の中心と直線の距離が半径になるときが接線となることを使う。
- 円 上の点 を通る直線 と中心の間の距離 が となる。
これにより、この単元では(1)と(2)の考え方を総合していることがわかります。
(4) 次は微分を使って接線の方程式を書く
再び数学Ⅱ、次いで数学Ⅲでは、微分を使って接線の方程式を書くことになります。
まず、平均変化率から微分係数を定義します。
そして、微分係数の図形的な意味を考えて、「 における関数 の微分係数 は、曲線 上の点 における接線の傾きを表す」ことを導きます。
これにより、接線の方程式 が求められます。
(1)~(3)の接線の定義から乖離があるようにも見えます。
まとめると…
中学~高校数学で接線について触れる5つの場面を振り返りました。
まとめてみると、
- (4) 微分法
- (4)以外(円や放物線などの2次曲線、判別式がポイント)
の2つの間に接線の定義に乖離があるように見えます。
注意深い中高生は2つの乖離に気付くかもしれませんね。*4
ちなみに、計算することでこの2つは同じであることがわかります。
*1:中学数学はこちらを参考にしました。
*2:高校数学は青チャートを参考にしています。
*3:ここでは具体的な点の座標表示は省略しました。
*4:自分はあまり気にならなかったですけど…
「今なら学生時代よりも数学を理解できそう」という根拠のない謎の自信
大学院の数学専攻を卒業して14年が経ちます。
卒業後8年ほど、数学からほぼ完全に離れていました。
センター試験シーズンに「今年の問題、解いてみようかな」と思う程度。
しかし、その後は数学やりたい熱が高まって、
というふうに進んでいきます。
その中で、あることに気付きました。
「今なら学生時代よりも数学を理解できそう」という根拠のない謎の自信が出てきたということです。
これは、「数学の問題がバリバリ解けるようになった」ということではないです。
というのは、現役時代も数学の点数がことさらよかったわけでもないです。
そして、今もそのときの実力から上がっていることはありません。
一方で、「数学の本が意外と読み進められる」「今までわからなかったことが理解できた」という経験はあります。
線形代数学は好きだったためか、最近読んだ『線型代数入門』(齋藤正彦著)は比較的すんなり読めました。
#数学がんばる会
— 7931 (@wed7931) 2017年9月17日
齋藤正彦「線型代数入門」の第4章まで読んだ。これでベクトル空間と線型写像まで読み終えた。
約20年前の大学数学科1年生時代の線型代数の教科書だったこの本を、頭から通読したのは初めてかもしれない。今でもすいすい読める。学生時代にもっと勉強すればよかった。 pic.twitter.com/cpMm2bdBI0
微分積分学は苦手意識がありましたが、『現代解析の基礎 直観⇔論理』(荷見守助・堀内利郎 著)はまあまあ読み進められています。
今は2変数関数の微積分で足踏み中です。
直近では、フーリエ級数とフーリエ変換の関係がわかってきたという経験もありました。
おそらく、学生時代とは違って、時間的制約がないので、マイペースで理解できるということなんだと思います。
時間的制約というのは、
- (高校時代なら)大学入試を受験する
- 単位認定のためのテストがある
- ゼミまでに発表内容を準備しなければならない
- 修士論文を締め切りまでに仕上げる
という意味です。
これに加えて、「○○理論を理解したい!」という積極的な動機付けは、いまのところないです。
まぁ、自分の修士論文の後半の内容がよくわからないからもう一度理解できればいいな…くらい。
ざっくりと、「数学のことをもっともっと知りたい」というふんわりとした、でも強めの欲求があります。
こういうゆるい感じで数学を見ているので、「今なら学生時代よりも数学を理解できそう」ということを考えるのかもしれません。
考えてみると、ゆるい感じで数学を見るのは、人生で初めてなんじゃないかな。
読解力を身につけさせるには(まだまだ模索中)
「読解力」。
最近の頭の中に常に浮かんでいる言葉のひとつです。
そのきっかけは『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』(新井紀子著)を読んだことです。先日のブログにも書きましたが、印象があまりにも強烈でした。
ブログ記事のタイトルにもあるように、親としての危機感を感じました。
危機感を持つだけでは何も始まらないので、具体的にやっている取り組みを書こうと思います。
家族でニュース番組を見る。
朝食や夕食の時間には、家族でニュース番組を見るようにしています。
ニュースを見ていると、子どもからはいろいろな質問が出てくるので、それに答えるようにしています。
いずれインターネットで情報を自ら取りに行くようになりますが、その準備として、まずは情報を浴びてみようと。
最近のニュース番組の質で気になることはありますけどね…。
新聞を読んでもらう。
我が家では、スポーツ新聞を取っています。
1年ほど前に一般紙を取っていましたが、ほとんど読まなくなったので購読中止。
その後、子どもに新聞を読んでほしいなぁ…という思いが出てきました。
でも、一般紙はとっつきにくいかなと。
じゃぁ、野球大好き一家なので、スポーツ新聞を取ってみよう!ということになりました。
その結果、興味を持ってくれて、少しずつ読んでくれています。
オリンピック期間中は、前日の結果や当日の競技予定を読んでいました。
そして、今日から大好きなプロ野球が開幕します!
これからも興味を持って読んでくれることを期待しています。
文章だけでなく、表形式のデータも多いので、そのような情報の読み取りに慣れてくれることも期待しています。
わからない問題は問題文を音読させる。
これについては、以下のツイートのとおりです。
長男(小3)が算数の文章題を解くときに「どう式を書けばいいかがわからない」と聞いてくることがあります。そのときは「問題文を声を出して読んでごらん」と言って音読させると、「あっ、わかった!そういうことか!」とすらすらと解けることがほとんどです。国語と英語以外の音読は大事だと思います。 https://t.co/DKhbMguwhv
— 7931 (@wed7931) 2018年2月11日
現時点で約170リツイート。
私のツイートで最も多くRTされており驚いています。
このツイートでは、算数の文章題について書いていますが、他の教科でも同じだと思います。
よく観察していると、問題の意味がわからないこともありますが、答え方がわからないということもあるようです。
いちばん多いのが、問題文をきちんと読んでいないことのようなので、音読させると「わかった!」となる場合が多いです。
長い目で見てあげよう
手を変え品を変えやっていますが、どれも私自身も小さいときはなかなか身に付かなかったこと。
まぁ、長い目で見てあげようと思います。
「公式は作れるんだ!」と知って数学の見方が変わった
算数・数学は小学生のころからず~っと好きで、大学数学科を卒業して10年以上経った今でも数学をやっています。
数学に興味を持ったきっかけは2つあって、以下の記事に書きました。
今回のお話は、数学に興味を持ったというよりも、数学の見方が変わったという話です。
高校2年の数学の授業での話
高校2年のときに、三角関数を習いました。
三角関数では、いろいろな公式が出てきます。
手元にある参考書に書かれている公式を挙げてみます。
- sin,cos,tanの相互関係(tan θ = sin θ / cos θ,(sin θ)^2 + (cos θ)^2 = 1 など)
- sin,cos,tanの加法定理
- 半角、2倍角、3倍角の公式
- 積→和、和→積の公式
- 三角関数の合成
- ほかに、sin (θ+π) = -sin θ など
高校数学の単元では、登場する公式がかなり多い方だと思います。
「これを全部覚えなきゃいけないのか…」と思っていたとき、先生がこう言いました。
相互関係とsin,cosの加法定理を覚えていれば、他の公式は覚える必要はない。
必要なときにその場で導けるようにしておくことが大事。
これを聞いたときに、「公式は作れるんだ!」と衝撃が走りました。
この後から数学の見方が変わった
それまでは、「公式は覚えて使うもの」という意識がありました。
それが「数学の基本的なことを理解していれば、公式は導けるもの」に意識が変わりました。
これ以降は、数学の基本的なことを理解することに、より重点を置くようになりました。
大学に入ってからはさらに数学の見方が変わった
大学の数学科に入ると、定義・定理・証明のスタイルで数学を考えるようになりました。
そう考え始めると、「そもそも公式ってなんだろう?」という疑問が出てくるようになります。
小学校~中学校では、三角形の面積の公式、直方体の体積の公式、速さの公式、2次方程式の解の公式など、たくさんの「公式」が出てきます。
「『公式』と呼ばれるものの中には、定義と定理がごちゃまぜになっていないか?」と考えるようになりました。
詳しく調べたわけではないですが、おそらく定理に当たるものが大半だと思います。
つまり、数学の定義に当たるものから導出できる公式が大半だと理解しています。
その後は、定義・定理・証明を明確に意識するようになります。
今もそのような視点で数学を見ています。
この視点で小学校の算数の教科書を読んでみる
数学科を卒業して約10年経ち、息子が小学生になりました。
新学期になると、算数の教科書をまず見せてもらいます。
上に書いたような視点で算数の教科書を見ると、なかなか新鮮です。
- 直角という概念をどう教えているか?
- 長方形と正方形をどのように説明しているか? など
「何が定義で何が定理か」を、しっかり判別して読むのは難しいです。
おそらく発達段階としてそこを厳密に教えるのは難しいし、ことさらに意識させるのはかえってよくないのかもしれません。(これは私の勝手な想像です)
過剰な期待かもしれませんが、私の息子がどこかで気づいてくれるとうれしいと思います。
4月から長男は小学4年生。
今から算数の教科書を見せてもらうのが楽しみです。
フーリエ変換とたたみ込みの関係を地図にしてみた/『数学セミナー 2018年3月号』読書メモ その4
『数学セミナー 2018年3月号』の「フーリエ解析ことはじめ」をもとにして、フーリエ変換の勉強を続けています。
フーリエ級数については、先日このブログでまとめました。
今回はフーリエ級数からひとつ進んで、フーリエ変換についてです。
フーリエ変換とたたみ込み、そして表現に関する地図
『数学セミナー』で言うと、野村隆昭さんの「駆け足で巡るフーリエ変換」の前半部分です。
ここでは、次の5つのトピックについて書かれています。
この5つのトピックについて、学生時代に勉強したことはありますが、関係性がきちんと理解できたかは微妙です。
記事をよく読んでみると、この関係がよくわかってきました。
自分が理解した関係性を地図にまとめてみました。(拡大して見た方がいいかもしれません)
地図の簡単な説明
地図に表した内容のポイントを簡単に書きます。
- 周期関数の展開公式であるフーリエ級数を一般の関数 に拡張するために、周期を無限大にして考えたものがフーリエ変換 である。
- 一方、2つの関数 から新たに1つの関数 を作るたたみ込みを考える。
- たたみ込みはフーリエ変換により関数の積に写される: .
- 上のルベーグ可積分な関数全体 の 上の表現は、フーリエ変換により「すべて」得られる。
なお、フーリエ変換の定義にはいくつかの流儀*1があります。
ここでは、本文に合わせた としています。
詳しい証明は本文や他の参考書をご参照ください。