7931のあたまんなか

数学/読書メモ/自分の考え方/水曜どうでしょう/交通関係(道路・航空)など、頭の中にあることを書き出しています。

私が書いた3種類の自分史

先日投稿された、Yuramakiさん(@YuramakiClay)の自分史に関する記事がとても印象に残りました。

yuramaki.com

というのも、精神的に参ってしまってから、自分のことを振り返るために自分史を書いていたからです。

自分史を書くことで、いろいろなことがわかりました。

自分史の中身を公開するのはやめておきますが、まとめた形式が3種類あるのでご紹介します。

出来事と感情をまとめた自分史

自分史というと、直感的に年表のようなものを想像するかもしれません。

私も最初はこれで書き始めましたが、なんとなくだるくなってしまって断念しました。

なので、このように書いてみるとすらすら書けました。

  • 数年間を一区切りにする。
    • 小学校時代や中学校時代のような学校を区切りにする。
    • 社会人になってからは、「A事業部在籍中、B事業部在籍中」「管理職になる前/なった後」など。
  • 区切りごとに印象的な出来事をいくつか書く。
  • 出来事ごとに感じた感情を書き出す。
    • 思い出すのが大変かもしれませんが…。

すると、自分の考え方の土台繰り返している思考のくせがわかるようになりました。

これを受けて今後どう行動するかはこの先に考えることですが、このようなことがわかるのは大きな収穫だと思います。

気分のグラフ

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上の図で見た通りです。有名人のグラフをテレビなどで見たことがあると思います。

上がり始め下がり始めにあったイベントを書き込むと、いろいろなことがわかると思います。

趣味のグラフ

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これは思いつきで書いたものです。

この図ではわかりづらいかもしれませんが、

  • (1) ずっと続けている趣味
  • (2) 一時中断しても、またやり始める趣味
  • (3) ある期間しかやっていた趣味

がわかるかと思います。

(1)や(2)は自分の軸になるものと考えられるので、それをベースに今後のことを考えるということができるかもしれません。

このグラフがどれくらい利用できるかは、自分で書いておきながら模索中です…。

参考になる本

私が以前読んだ『自由な働き方をつくる 「食えるノマド」の仕事術』常見陽平 著)にも自分史に関する記述があり、参考になりました。

この本に関するブログも書きましたので、参考までにリンクを載せておきます。

wed7931.hatenablog.com

『数学ガール/ポアンカレ予想』第4章 読書メモ

今回は数学ガールポアンカレ予想』第4章の読書メモです。

第1章と第2章はなかなか理解できずに読むスピードがゆっくりでした。第3章からは快調に読み進められていて気持ちいいです。

なお、前回の第3章の読書メモはこちらです。

wed7931.hatenablog.com
第4章のタイトルは「非ユークリッド幾何学。私たちが“よく知っている”ユークリッド幾何学の範囲を越えてみようという内容です。

私にとっては断片的に知っていたことが、この章を読むことでつながったことが大きな収穫でした。

【目次】

第4章のキーワード

この章を読む前に知っていたこと

大学時代に幾何学 *1 の講義を一応受けていたので、中途半端に知識はありました。

(1) 非ユークリッド幾何学の存在

ユークリッド幾何学が「ユークリッド幾何学の平行線公理がない幾何学」であるということは知っていました。

そして、その中に球面幾何学双曲幾何学の2つがあるらしい…と。

しかし、

  • それぞれの幾何学がどのようなもので、そのような性質を持っているか?
  • ユークリッド幾何学と呼ばれるものは、この2つしかないのか?

ということはわかっていませんでした。

(2) たくさんある「リーマンなんとか」

リーマン計量リーマン幾何学リーマン多様体という言葉は知っていました。

しかし、定義の理解は不十分で、それぞれの関係がわかっていませんでした。

修士論文擬リーマン多様体を扱っていたにもかかわらずです。(恥ずかしながら…)

この章を読んで「なるほど!」と思ったポイント

(1) サッケリの予言的発見

この章の前半で、なるほど!と思ったのは、サッケリの予言的発見です。

ユークリッド幾何学における平面上の2本の直線の性質を示したものです。

ここから“すべての”非ユークリッド幾何学が導出されるわけではないと理解しましたが、球面幾何学と双曲幾何学における直線の性質をよく表しています。

ちなみに、それぞれの幾何学における“直線”とは、次のようなものです。

ユークリッド幾何学
私たちが“よく知っている”平面上の直線
球面幾何学
球の中心をとおる平面で切った断面が作る円(大円と呼ばれる)
双曲幾何学
ポアンカレ円板モデルで示される“円弧”や上半平面モデルで示される“半円”

また、直線の本数を使って整理した次のような記述も印象的です。

球面幾何学
直線  l 外の点  P を通過して、  l と交わらない直線は存在しない
ユークリッド幾何学
直線  l 外の点  P を通過して、  l と交わらない直線は1本存在する
双曲幾何学
直線  l 外の点  P を通過して、  l と交わらない直線は2本以上存在する

(2) 「計量によって無数の幾何学が作れることをリーマンは示した」

本文の158ページに書かれていた非常に印象的な言葉です。

これを読んで、リーマン計量リーマン幾何学リーマン多様体の3つがバチッ!とつながりました。

リーマン計量の定義と意味合いをメモします。

  • 線素  ds は、座標平面上の点  (x_{1},x_{2}) に応じて、  x_{i} 座標の微小変化  dx_{i} を使って微小な距離を決めている(  i =1,  2 )。
  • 座標平面上の関数  g_{ij} \ (i,  j = 1, 2) を使うと、  \displaystyle ds^2 = \sum_{i=1}^{2} \sum_{j=1}^{2} g_{ij} x_{i} x_{j} と書ける。
    •  g_{ij} はある点のある向きに対して、ユークリッド幾何学の距離よりどれくらいずれているかを表す関数と言える。
  • 行列  (g_{ij}) が“正定値” *2 であるとき、  ds^2リーマン計量という。 *3

(3) 修士論文に書いた「擬リーマン多様体」って?

ここで13年前に書いた修士論文で扱った擬リーマン多様体についての記述を振り返ってみます。

和が偶数になる *4 自然数  p, q について、擬リーマン多様体  \mathbb{R}^{p,q}ユークリッド空間  \mathbb{R}^{p+q}擬リーマン計量  dx_{1}^2 + \cdots + dx_{p}^2 - dx_{p+1}^2 - \cdots - dx_{p+q}^2 を入れたものとする。

「正定値じゃないから、擬(pseudo)が付くんだ!」といまさらながら思いました。

おわりに:『曲線と曲面の微分幾何』を改めて読みたい!

この章を読んだことで、学生時代にわからなかったことが関連付けて理解できました。10年以上のモヤモヤが解消された形です。

そしてこの章を読むことで、微分幾何学の教科書だった『曲線と曲面の微分幾何』の第3章までの概要が理解できることがわかりました。

曲線と曲面の微分幾何

曲線と曲面の微分幾何

時間があれば、この教科書をよく読んでみたいなぁと思っています。

*1:微分幾何学位相幾何学

*2:少し雑に書いています。

*3:この条件は『数学ガールポアンカレ予想』には書いていません。『多様体の基礎』(松本幸夫)の定義参考にしましたにしました。

*4:不要な条件かもしれませんが、一応書いておきます。

特集「複素関数の質問箱」まとめ(その4)~『数学セミナー 2018年6月号』読書メモ

数学セミナー 2018年6月号』の特集「複素関数の質問箱」のまとめの最終回です。

テーマは複素対数解析接続です。

今回の記事を読んで、数学的内容の理解は十分にできたとは言えませんが、数学の考え方のおもしろさが印象に残りました。

なお、前回のまとめはこちらです。

wed7931.hatenablog.com

複素対数の多価性

「複素対数とは何か パラドックスをこえて」高瀬正仁さん)のまとめです。

話の始まりは、実定数  a に対して実変数  z をもつ指数関数  a^z です。

さまざまな  a に対して  a^z がどのような値を取るかについて、オイラーの考察をたどる形で書かれています。

具体的には、次のような考察です。

  •  a が正数の場合は、現代の高校数学で学習する内容である。
  •  a=0 の場合は、 z の正負によって値を定義した。
  •  a が負数の場合は、状況が変わってくる。
    • 例えば、 a=-2 のときは  (-2)^{-2}=\frac{1}{4}, \ (-2)^{-1}=-\frac{1}{2}, \ (-2)^{0}=1, \ (-2)^{1}=-2 のように、正負の数が交互に出てくる。
  • さらに、  a が負数で  z有理数とすると、  a^z は実数になったり虚数になったりする。  z無理数の場合はさらに難しい。

書き換えると、(  a が正数のときと同様に考えた)対数関数  z= \log_{a} y の性質を考察したということになります。

ベルヌーイの考察を合わせて、「どの数  b にも無限に多くの対数  x= \log b (底は  e )が存在する」という結論に達しました。

現代ではこのような性質を「対数関数は多価関数である」と言いますが、当時はオイラー自身も受け入れがたいものだったようです。

その原因が「対数はただひとつしかない」という想定があったためだと書かれています。

この記事の最後では関数の多価性について、次のような記述があります。私はこの2つの記述が非常に印象に残りました。

今日の数学の語法では複素対数ははじめから無限多価関数として定義される(略).あるいはまた,まず切れ目の入った複素平面上で一価関数として定義し,それから解析接続を経て対数関数のリーマン面を構成するのも有力な手段であり,1価性がこれで回復する.だが,1価性に寄せるこだわりは何に由来するのであろうか.

複素対数関数の無限多価性を目の当たりにしていぶかしく思うのは,今日の関数概念で課されている1価性の印象が強いために,多価性を拒絶したい心情へと誘われるからである.だが,関数の本来の姿は多価性において現れるのである.

解析接続について

「解析接続の意味と意義について」(小山信也さん)のまとめです。

話の始まりは、   \displaystyle 1 - s + s^2 - s^3 + \cdots = \frac{1}{1+s} という式です。

左辺は  |s| < 1 のときのみ収束するのに対して、右辺は  s \neq 1 で定義されます。

そこで、「両辺は関数としては等しいのに、両辺の定義域が異なるのはどういうことか?」という疑問が出てきます。

そのために  s を実数から複素数に広げて考えると、解析接続により「左辺と右辺は1つの関数を異なる表示法で表したものである」と考えることができます。

詳しくは下の手書き資料で説明します。

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記事の中では、「すべての自然数の和  1+2+3+\cdots \displaystyle - \frac{1}{12} になる」*1という有名な式の意味が解析接続を使って説明されています。

また、解析接続されない例として、すべての素数の和を考えることを通して書かれています。なお、本文で考えた「関数」で考察すると、和は無限大に発散すると結論されています。

そして、次の3つのことで締めくくられています。

  • どちらの和も  L 関数の具体例である。
  • 乗法的な生成元である素数を加法的に扱うことの難しさ
  • 自然数全体の和は有限値(  -1/12 )なのに、この和から項を減らした素数全体の和は無限大になる。数の大小よりも、自然数全体や素数全体の集合がどんな意味があるかが重要なのでは?

個人的には、自然数全体の和は有限値なのに、この和から項を減らした素数全体の和は無限大になる」ことの意味が気になります。

おわりに

これまで全4回の記事で、複素関数をおさらいしました。

私にとって、複素関数は言葉は聞いたことがあるものの、その意味や主張がわからなかったものが多い分野でした。

証明はほとんど追えていませんが、どういう問題意識からスタートしたかがわかっただけでも収穫でした。

*1:オイラーは冒頭の式とそれを微分した式に  s=1 を代入したものを使って計算したようです。

特集「複素関数の質問箱」まとめ(その3)~『数学セミナー 2018年6月号』読書メモ

数学セミナー 2018年6月号』の特集「複素関数の質問箱」をようやく読み終わりました。

複素関数は数学科の講義でコーシー・リーマンの方程式くらいまではなんとかついていけました。しかし、複素積分や正則関数の性質などはよくわかりませんでした。

今回のまとめでは、当時よくわからなかった部分に入っていきます。

なお、前回のまとめはこちらです。

wed7931.hatenablog.com

複素積分について

「複素積分とはなんですか.ふつうの積分とはどう違うのですか.」(村田玲音さん)のまとめです。

複素積分の定義

複素積分の定義を、実関数の定積分(リーマン和の極限)と対比した形で説明している。ポイントは以下の3点。

  • 複素関数の場合は、始点と終点を結ぶ経路の取り方が無限にあるため、始点と終点だけでは積分値が一意に決まらない場合がある。
  • 経路の取り方によらず積分値が決まれば、実関数の定積分のように扱える。
  • その場合、実関数の微分積分学の基本定理と同様の結果が得られる。

コーシーの積分定理と積分

「閉曲線上の積分の値が0になる」ことを示すコーシーの積分定理 \int_{C} f(z)dz = 0 )は、「積分の値を変えずに積分路を変えることができる」ことを意味している。

この定理は、積分路という概念がない実関数では出てこない。

留数の原理と実定積分の計算

おもしろい関数になると、関数が定義される領域内に特徴的な点(零点や特異点)が出てくる。

例えば、孤立特異点における留数(ローラン展開 -1 次の係数  a_{-1} )について、 留数の原理 \int_{C} f(z)dz = 2 \pi i a_{-1} )が成り立つ。これは「積分路を変更したとき、孤立特異点を1つ越えると積分値が   2 \pi i a_{-1} だけ変化する」ことを言っている。

上記のことを使って、実関数の定積分が複素積分を経由して計算できる。*1

正則関数のきれいな性質

「正則関数の“綺麗”な性質はなぜ…」(大野泰生さん)のまとめです。

実関数と似た性質と複素関数の個性的な性質

正則関数が持つ次の性質は、微分可能な実関数と似ている。つまり、実関数の自然な拡張として複素関数の正則性が定義されていて、その性質が受け継がれていると言える。

  • 領域  D 上の正則関数は  D 上で連続である。
  • 正則関数の和差積商(商は分母に注意)も正則関数である。つまり、  D 上の正則関数全体は環をなす。
  • 微分についての線形性、ライプニッツ則(積の微分)、連鎖律が成り立つ。

次の性質は複素関数の個性的な特徴である。

  • コーシーの積分定理(上述)
  • コーシーの積分公式:ある点での正則関数の値は、点の周囲を回る経路の積分で得られる。
  • 正則関数の解析性:正則関数は領域内の任意の点で無限回微分可能で、べき級数展開できる。逆も成り立つ。
  • 一致の定理:領域内のある条件を満たす集合上で2つの関数が一致するなら、領域上のすべての点で関数は一致する。

なぜ個性的な性質が現れるか

複素関数  f が正則であるとは、商  \displaystyle \frac{f(z+h)-f(z)}{h} h \to 0 のとき極限値を持つことであることを思い出すと、次のようなことがわかる。

  • 商の分子と分母は実2次元。ふつうは2次元ベクトルで割ることは定義されないが、複素数と考えれば割ることができる。
  •  h 0 に近づける方法は無限にあるが、あらゆる近づき方を通じて極限値は一意に定まることを表している。

つまり、正則関数は非常に強い制限がかけられた厳選された関数であると言える。そのため、個性的な特徴が現れると考えられる。

正則関数のその他の性質

  • 以下の2条件は同値である。
    • 正則関数である。
    • 実部と虚部が全微分可能であり、コーシー・リーマンの方程式を満たす。
  • リューヴィルの定理複素平面全体で有界な正則関数は定数に限る。*2

補足:複素微分可能でない関数の例

 f(z) = \bar{z}複素平面上の任意の点で複素微分可能ではない。

なぜなら、  h=re^{i \theta} として上の商を計算すると、  \displaystyle \frac{f(z+h)-f(z)}{h} = \frac{\bar{h}}{h} = e^{-2i \theta} となる。これは  \theta の値(近づく向き)によって極限値が異なる。

おわりに

個人的に勉強になったのは、以下の点でした。

  • 複素積分を実積分と対比して説明していて、とても見通しがよかった。
  • 正則関数が厳選された関数であるということが新しく理解できた。
  • 実関数は1次元で複素関数は2次元というように、単に次元が上がっただけではなく、複素数という著しい特徴が重要だということに気付いた。

次回は、特集の最後の2つの記事に書かれている複素対数解析接続をまとめる予定です。

*1:本文の例では、  \int_{0}^{\infty} \frac{\sin x}{x} = \frac{\pi}{2}

*2:関連してこのような記事を書きました。 wed7931.hatenablog.com

うちの子どもたちは「無限」について興味があるらしい

うちの子どもたちはいきなり「無限」ということについて質問をしてきます。

興味深い発言がよく出てきて、そのたびにツイートしていますので、まとめておきます。

初めて無限について話した。

長男が小1のときです。

長男が小2のとき:「算数の基本は数字。数字は何ですか?」

いつかε-δのイメージを教えてみたいです。

次男が小1のとき:「無限(∞)ってなに?数字?」

次男「無限(∞)ってなに?数字?」
 
自分「うーん、数字ではないかな。状態みたいな。でも、どの数よりも大きいってことでいいよ」
 
次男「じゃぁ、無限たす1(∞+1)ってどういうもの?」
 
次男「んー、無限って数じゃないからなぁ。そういうものはないんだよね」

上の内容はこちらの記事からの抜粋しました。

wed7931.hatenablog.com

長男が小4、次男が小2。改めて無限について。

寝る前に次男がいきなり質問してきました。

長男は学校で無量大数を習ったばかり。大きい数により興味が出てきたようです。

これからも追記予定です。

無限に関する会話があれば、この記事に追記していく予定です。

数学の本を読むのは楽しいけど、問題を解くのはそうでもない。

以前から少し気になっていたことを何気なくツイートしてみました。

最近は『数学セミナー』や大学数学の教科書などを読んで、内容が理解できるのがとても楽しいと思っています。

一方、数年前は趣味で高校数学の問題を解いていましたが、あまりワクワクせずに途中で終わってしまいました。

この差は何だろう?と思っていて、ツイートをしました。

いくつかの反応がありましたので、ご紹介します。

数学は「解ける」ことが重要視されているのでは?

なるほど!と思いました。

確かに、高校までの数学ではこの傾向が強いなと。ある意味で必然なのかもしれません。

自分にとって、「数学の本を読む」ということは大学で数学を勉強することで知りました。

このツイートに対して、このような反応をしました。今考えると、少し的外れかもしれません。


ある程度の見通しというか結果が予見できる方が気持ちいいから?

このツイートは自分のことを言い当てているように思えて、ドキッとしました。

数学に限らず、自分にとって、ある程度の見通しというか結果が予見できる方が気持ちいいことが多いです。

逆に、手探りで何かを見つけるのはあまりワクワクしません。

これまでの仕事の進め方を考えても、その通りだなと思いました。

このツイートが端的に本質を突いている?

おっしゃる通りという感想です。このツイートもドキッとしました。

特集「複素関数の質問箱」まとめ(その2)~『数学セミナー 2018年6月号』読書メモ

数学セミナー 2018年6月号』の特集「複素関数の質問箱」を引き続き読んでいます。

前回は、複素数の定義とその性質、そして複素関数と実関数の関係についてまとめました。

wed7931.hatenablog.com

今回は複素関数微分について、「複素微分とはなんですか.ふつうの微分とはどう違うのですか.」(金子元さん)をもとにまとめました。

この記事で扱っているのは、次の3つです。

  • 複素微分の定義
  • コーシー・リーマンの関係式
  • 正則関数の性質

なお、今回は手書きの資料をベースに記事を構成しています。見づらい部分がありましたら、申し訳ありません。

複素微分の定義とコーシー・リーマンの関係式

まとめの概要は以下の通りです。

  • 実数値1変数関数の微分と実数値2変数関数の偏微分の性質のおさらい
  • 複素関数微分の定義とその性質
  • 3種類の関数の共通点:“線形写像で近似できる”こと
  • コーシー・リーマンの関係式の導出

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複素関数は“角度を保つ”写像

上で見てきた  h(z)=zF'(z) を違う見方で考えます。

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正則関数の性質と解析関数

概要は以下の通りです。

  • 正則関数:領域上での複素微分可能性
  •  k 導関数:実関数と同様の定義
  • 解析関数:べき級数展開可能な関数
  • 上の3つは、複素関数では“同値”な概念
    • やや雑な言い方をしています。

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その他

本文では、一致の定理や上記の性質が実関数では成り立たない例が書かれています。

なお、一致の定理の詳しい議論は後続の記事に書かれています。

個人的な感想

コーシー・リーマンの関係式は学生時代に勉強したことがありますが、その式を導出するための動機付けが初めてわかりました。

ちなみに、学生時代は複素関数が実部と虚部を表す2変数関数を使って  F(z) = \varphi(x,y) + i \psi(x,y) と表せることが、なぜか納得できませんでした。おそらく、関数(写像)の概念の理解が不十分だったためだと思います。

手書き資料のPDF版

これまでに説明した5枚の手書き資料をPDFにして以下の場所に置きました。

www.dropbox.com