2017-11-13 『現代解析の基礎 直観⇔論理』読書メモ (第5章) 数学 読書メモ 引き続き、『現代解析の基礎 直観⇔論理』(荷見守助・堀内利郎 著)を読んでいます。現代解析の基礎―直観から論理へ 論理から直観へ作者: 荷見守助,堀内利郎出版社/メーカー: 内田老鶴圃発売日: 1989/04メディア: 単行本この商品を含むブログを見る 前回は連続関数と1変数の微分まで 以前のブログでは、第1章~第4章の読書メモを書きました。wed7931.hatenablog.com 今回は1変数関数の積分 今回は第5章の読書メモです。テーマは1変数の積分について。 学生時代にあまり理解できずに中途半端に終わっていた部分なので、新鮮に感じる部分もいくつかありました。 第5章 - 積分 定積分 定積分(リーマン積分)の定義からスタートしている。 閉区間の分割の定義を行い、それに関する補題を証明した上で、積分可能性や定積分の基本性質( など)を厳密に証明している。ここまで厳密な議論は、自分はこれまでにしてこなかったので、とても新鮮で納得感があった。 なお、関数の連続性のε-δ式の定義は3.5節の一様連続性の定義の直前で述べられている。 不定積分 微分積分法の基本定理を証明した上で、不定積分(原始関数)が導入されている。 ちなみに、この本では不定積分と原始関数は厳密には異なるものと定義されている。(実質的には同じものだが) 後半は初等関数の不定積分の計算やウォリスの公式( )、ルジャンドル多項式が説明されている。 広義積分 広義積分の定義は、他の本と同じように述べられている。 ベータ関数()やガンマ関数()も説明されている。 積分の応用 テイラーの公式の剰余項を積分で記述する方法と曲線の長さについての説明。 曲線の長さの公式(長さ= )が平均値の定理を使って説明されていて、今までに自分が経験した説明の中で最も納得できるものだった。 まとめ これまでに見てきたリーマン積分の説明の中で、最も納得できたのがこの本の議論の内容でした。ε-δ論法を使って議論を展開することで、直感に頼る部分が少なくなることが実感できました。一方で、ε-δ論法に慣れていない大学初年度の学生には、フォローが難しいかもしれないという印象もあります。いずれにしても、大学数学を復習する立場としては、とてもよい教科書に出会ったと思っています。