複素数をより受け入れられやすく導入するには?
先日、複素数の導入に関連して、このようなツイートをしました。予想外にいろいろな反応があり、驚いています。
複素数の導入。多くは「2乗して-1になる存在しない数を虚数iとする」と教えられる。複素数が理解されづらい理由として「存在しない数」という否定的印象から入ることがあると思う。「iという新しい数を導入すると、こんなにいいことがある」という説明の方が第一印象がいいヤツに見えてgoodかと。
— 7931 (@wed7931) 2018年5月3日
「複素数は『存在しない数』として、否定的な表現で導入されることがある。有用性を強調すれば、より受け入れられやすいのでは?」という内容です。
このツイートは、2018/5/8 17:00時点で、278RTと902Favがありました。私のTwitter経験の中で最も多くの反響です。
私の見える範囲で、関連するツイートをモーメントにまとめました。
この中に興味深い意見がいくつかあったので、ピックアップします。
「存在しない」と「知らない」を区別する必要がある
存在しないと知らなかったは別。「そうすると嬉しい」事も「既知で小学校から散々利用した数直線上にはないよね」って事も云うが「存在しない」と云う説明はサボり過ぎではないかと思う。ちゃんとある。90度回すと考える事で世界が広がる事も云う。ただし時間が足りないのでそのあとは計算で経験値積み https://t.co/vU0XBKMckK
— ʇɥƃıluooɯ ǝıʇɐs 𖥶 (@tsatie) 2018年5月3日
これは私も大きく同意です。
- 実数の範囲では、2乗して-1になる数(虚数単位 )は存在しない。
- 逆に、数の範囲はもっと広いと考えれば、 という新たな数がある。
この2つをごちゃごちゃにしているのが問題ではないかと考えています。
高校数学で「複素数」と「複素数平面」を学ぶタイミングが離れている
私の一つの結論はそこですね。複素平面は数Ⅲになってしまうんですが、複素数にリアリティを持ってもらい、またそのありがたみの一端を実感してもらうには、一つは数Ⅱで複素平面に片足突っ込むことなのかなと。 https://t.co/FNcnTfCD8q
— MER (@MathEdr) 2018年5月4日
私の高校時代を思い出すと、複素数の有用性やおもしろさを味わえたのは複素数平面でした。
複素数の極形式と三角関数の関係や複素数の積を使った回転の表現を知り、複素数がすごいものだと感動した記憶があります。
これは学習指導要領に関係があると思われます。
私が高校に入学した1996年度は、数学Bで複素数の導入と複素数平面が同時に扱われていました。複素数を知って、すぐに複素数平面での応用を学びました。
その後の学習指導要領の改訂で、
というようになります。
つまり、複素数平面を学ばなかったり、学んでも複素数の導入から1年程度経過してからという形になりました。*1
そのため、複素数の有用性やおもしろさを味わいにくいのではないかと思っており、そのようなツイートも多くありました。
複素数の導入のアイディア
このツイートのアイディアは目からうろこでした。
「-1を掛けるということは180°の回転とみなせるよね。では、2回かけると180°の回転になるようなものは何かなあと考えると、90°の回転かなあと考えるのは自然だよね。そうするとほら、数の世界が直線上の左右の運動から平面の二次元に拡がった!」とか教えたいな。
— Masao SUZUKI㌠ (@masaopus25_7) 2018年5月3日
既知の数直線では、-1を掛けることは原点中心に180度回転させることに相当する。
ということから自然に話題を展開させるのは素晴らしいです。