7931のあたまんなか

数学/読書メモ/自分の考え方/水曜どうでしょう/交通関係(道路・航空)など、頭の中にあることを書き出しています。

『数学ガール/ポアンカレ予想』第3章 読書メモ

数学ガールポアンカレ予想をじっくり読んでいます。

今回は第3章の読書メモです。

前回の第2章のメモはこちらです。

wed7931.hatenablog.com

第3章のタイトルは「テトラちゃんの近くで」。数学の分野で言うと、位相空間がテーマです。

個人的には、第2章までの位相幾何学よりもなじみがある分野なので、すんなり読むことができました。

【目次】

第3章のキーワード

数式が出てこないのはやっぱり気になっていた

83ページに、第2章までのトポロジーの議論についてテトラちゃんの不安が書かれています。

「気になっているのは、数式が出てこない点です。絵を描いて終わりにしていいのかな、なんて」
(中略)
「数式が出てこないと、まちがったことをやっていないのかなと考えてしまうんです。伸ばしたらこうなりますね、貼り付けるとこうなりますね、数学なのに、それでいいんでしょうか。あたしは、まちがうのが恐いんです」

第2章まで読んで、自分もまさに同じことを思って、モヤモヤしていました。

この章で位相空間としての同相写像が定義されたので、この後にこのモヤモヤが解消されるかなと期待しています。

一般化と特殊化

この章には、一般化と特殊化(抽象化と具体化)の例が出てきます。

一つは、合同と相似。(1:1 と 1:r と見なせる。)

もう一つは、距離空間位相空間

距離空間から距離を捨てて、位相空間での写像の連続性の定義をしようとしています。

この議論をする際の、「抽象は捨象」という言葉が非常に印象的でした。

同一視と不変量

同相写像による位相空間の同一視、そして同相写像で変化しない量として位相不変量があることが説明されています。

ちなみに、グラフの一筆書き(第1章)については、グラフ同型での不変量としてオイラー閉路があるそうです。

グラフにはどういう位相を入れるんだろう?という疑問が出てきますね。

連続→極限→微分微分同相

そして、119ページの次のような議論は考えたことがなく、非常に新鮮な印象を受けました。

「連続が定義できたってことは、極限が使えるわけだよね。だったら、連続だけじゃなくて微分も定義できるんじゃない?」
「そうはいかない。微分を定義するには位相構造だけではなく、微分構造を入れる必要がある。そして、微分のことまで考えたときの《同じ形》のことを微分同相という」

そのほか気になったことや感想など

学生時代は松坂和夫『集合・位相入門』を参考に位相空間論の勉強をしました。

集合・位相入門

集合・位相入門

距離空間はイメージできたものの、一般の位相空間はなかなかイメージできずに、理解が不十分なままでした。

今一度、改めて『集合・位相入門』を読んでみたいと思いました。卒業時にこの本を手放してしまったのを後悔しています…。