『数学ガール/ポアンカレ予想』第5章 読書メモ
- 作者: 結城浩
- 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
- 発売日: 2018/04/14
- メディア: 単行本
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全10章のうちの前半を読み終わりました。じっくり集中できる時間を見つけて読んでいるので、進みはゆっくりです。
なお、前回の第4章の読書メモはこちらです。
第5章のタイトルは「多様体に飛び込んで」。
多様体という言葉を見て、幾何学が苦手な自分は身構えましたが、読んでみると意外とすっきり読めました。
【目次】
第5章のキーワード
- 1次元、2次元、3次元、4次元の立方体
- 中身が詰まっていない「サイコロ面」
- 中身が詰まっている「サイコロ体」
- 次元サイコロ面を 次元で見る。
- 次元球体と 次元球面 の展開図
- 次元多様体
この章を読むのに必要なのは想像力
第4章までは紙に図や式を書いて、お絵描きをしながら計算をしながら読みました。
一方で、第5章を読むときには、紙はほとんど使いませんでした。
本文で丁寧に説明されている文章と多くの図を見ながら、想像力を働かせて読む感じでした。
ポイントは「サイコロ面」と「サイコロ体」
その想像力を働かせるのにポイントになるのが、サイコロ面とサイコロ体の理解だと思います。
例えば、「球」と言ったときに、中身の詰まっていない球を指すか、中身の詰まっている球を指すかに十分気を付けようということです。
数学では、前者を球面、後者を球体と言って区別します。
式で書くと、 と です。 と の違いに注意です。 *1
この立方体版を考えて、
- 中身が詰まっていない立方体をサイコロ面
- 中身が詰まっている立方体をサイコロ体
と呼んで、本文では説明しています。
これが理解できれば、第5章の目標のひとつである
- 3次元球面 *2
- 4次元立方体
が「見える」ようになると思います。
どちらも4次元空間内の図形なので、平たく言うと、4次元が見える経験ができるはずです。
この章での新しい発見
サイコロ面とサイコロ体という考え方
これまでの数学経験で、球面と球体の区別は意識していましたが、立方体について同じような見方をしたことがありませんでした。
この理解によって、幾何学の理解が一気に広がったような気がします。
『数学ガール/ポアンカレ予想』第5章を少しずつ読み始めた。今までに見たことがある4次元立方体の図の解釈がようやくわかってきた。新しい幾何学の知識がついてきた。 pic.twitter.com/oF0zt75VEb
— 7931 (@wed7931) July 19, 2018
図形の《中》に入る/図形の《外》から《撫でる》感覚
この2つの表現はとても文学的ですが、数学的にも非常にわかりやすかったです。著者の結城さんの言葉の力に感動しました。
- 次元サイコロ面の中をどこまでも進んでいく様子
- 次元生物が 次元球面を一周する様子
本文を読んでこの2つが理解できれば、《撫でる》の意味がわかると思います。同時に、《有限/無限》と《果てがある/ない》の意味も。
おわりに:今後の展開が楽しみなこと
この章を読んで、理解できなかったことが2つありました。
(1) 「無限遠点を足した上で裏返す」とはどういうこと?(177ページ)
(2) 「形を知る道具が群」とはどういうこと?(190ページ)
どちらも第6章以降で明らかになるだろうと考えて読み進めようと思います。