7931のあたまんなか

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ルベーグ測度の性質〜『ルベーグ積分講義』読書メモ

ルベーグ積分講義』(新井仁之 著)の読書メモ第2回です。

前回の読書メモでは、ジョルダンルベーグの2つの方式での面積の定義について整理しました。

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今回は、第3〜4章に書かれているルベーグ測度の性質をまとめます。

第3〜4章を読む上で注意すること

  • 各主張がルベーグ測度 or ルベーグ測度のどちらに関することか?
  • ルベーグ測度が有限 or 一般の場合(有限とは限らない)か?
    • 全般的に、前半で有限の場合、後半で一般の場合を示している。

2つの加法性

  • ルベーグ測度は完全加法性(または σ-加法性)を持つ。
    • 有限の場合:定理3.1、一般の場合:定理3.1’
  • ルベーグ外測度は劣加法性を持つ。
    • 一般の場合:定理3.2(有限の場合を含む)
  • ルベーグ外測度が完全加法性を満たすかは難しい問題
    • 選択公理を仮定すると、完全加法性を満たさない例が作れる。(40ページ)
    • 相異なる任意の2つの集合の距離が正となる集合族では、ルベーグ外測度の完全加法性が成り立つ。(定理3.3)

2つの可測性の関係

リーマン積分と2つの方式の面積の関係

  • リーマン積分の定義は46〜47ページ参照。
  • 区間上でリーマン積分可能な関数について、x軸と閉区間上のグラフが囲む領域はルベーグ可測であり、その領域の定積分ルベーグ測度は一致する。(定理3.7)
  • 言い方を変えると、リーマン積分で求められない図形の面積がルベーグ積分で求められる可能性がある。


どんな集合がルベーグ可測集合か? *1

  • 空集合、全体集合
  • 閉集合
    • 有限の場合:定理3.9、一般の場合:系3.9'
  • 開集合
    • 有限の場合:系3.15(平面の2進分解と2進正方形を使う)、一般の場合:系3.15'
  • 可算個のルベーグ可測集合の和集合と共通部分
  • ルベーグ可測集合の補集合
    • 上の2つは定理4.1より。また、差集合も同様。
  • 等測包 *2 と零集合による特徴付け(系4.4)
    • 等測包と等測核 *3 の差を零集合にできることがポイント(系4.3)
    • 定理3.16'を使って証明する。


ルベーグ測度の計算

  • 差集合のルベーグ測度の計算(系4.2)
  • 包含関係について単調性を持つ集合族が収束する集合のルベーグ測度を極限値で求める。(定理4.5)
  • ルベーグ測度は平行移動・裏返し・回転に関して不変である。(定理4.8~4.10)

その他:補題3.8の証明の補足

  • 49ページの証明3行目:定理A.10を使う。
  • 50ページの上から2行目:収束列がコーシー列であることを使う。

*1:ルベーグ可測集合は定義3.18で定義されている。

*2:等測包:ルベーグ可測集合を含む、ある開集合たちの共通部分

*3:等測核:ルベーグ可測集合に含まれる、ある閉集合たちの和集合