二宮敦人さんの『世にも美しき数学者たちの日常』は、「小説幻冬」への連載開始から私のTwitterタイムライン上で話題になっていました。連載をまとめた単行本の出版直後に読んでみました。
- 作者: 二宮敦人
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2019/04/11
- メディア: 単行本
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数学者が考えていることが意外だった。
私は大学院まで数学科で数学の勉強をし、就職後約10年のブランクを経て、趣味として改めて数学の勉強を再スタートしました。
学生時代は周りに数学者はたくさんいましたが、数学を教えてもらう以外の接点はあまりなかったと思います。また、新しい定理を発見したことはなく、すでに構築済みの数学理論を追うことが精いっぱいでした。
この本を読むと、日常的に数学をして新しい定理を発見する数学者の意外な考え方が見えてきました。
- 数学が難しくなりすぎているのかもしれない。
- 問題を作る(良い予想を作る)ことの大変さ
- 数学者どうしの交流で研究が進む一方で、孤独とのたたかいもある。
- 研究内容や研究の仕方に独自性を出すということ
これらは学生時代に身近に数学者がいたにもかかわらず気付かなかったことでした。
「数学とともに生活をする」。自分にも経験があった。
この本に出てくる数学者の言葉を見ていると、机に向かって必死に勉強するというよりも、数学とともに生活をしている様子が見て取れます。
そういえば、私にもそういう経験があったなぁと思い出しました。
学生時代に付き合っていた彼女(現在の妻)と一緒にいるときの話。なかなか解けずに頭の中で引っ掛かっていた問題の解決への道筋がひらめき、その瞬間に彼女そっちのけで机に向かって計算を始めて答えを出すことが何度かありました。
最初はそんな私の様子を不審がって見ていましたが、そのうち慣れていったようです。
数学者ではない数学を愛する人たち
この本では数学者だけでなく、「在野の探求者たち」と題して、数学者ではない数学を愛する人たちのインタビューも書かれています。
私もそのような人たちの端くれとして、大いに共感しながら読み進めました。
TwitterやFacebookを見ていると、このような人たちは意外とたくさんいることがわかります。人によっていろいろな数学との接し方があり、私もそのような方たちと交流を進めることで刺激を受けています。
ちなみに、私の数学の接し方は以下のツイートのように表現できます。
自分の数学への取り組み方は、そのときどきの興味に応じてふらふらと広く浅くになってきている。最近は物理にも手が伸びてきた。このやり方はとても心地よい。
— 7931 (@wed7931) March 27, 2019
その結果を受けて、自分なりの「数学の地図」を作ることが最終目的なのかも。
その地図がいつまでも完成しないのが、またおもしろいわけで。
子どもたちが独立して住宅ローンが終わって余裕が出てきたら、数学の博士課程で数学に没頭したいという思いはずーっとある。その意欲を絶やさないようにするために、今は毎日少しずつ数学をやっている。
— 7931 (@wed7931) April 27, 2019
最後に:書籍以外にもWeb上の記事も
この本の著者の二宮敦人さんと数学者である黒川信重先生と加藤文元先生の鼎談のWeb記事もあります。くだけた感じでとても楽しいお話です。
【前半】
www.gentosha.jp
【後半】
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