『伊集院光とらじおと』ゲスト・新井紀子さんのお話のメモ - 2018年2月22日放送
TBSラジオ『伊集院光とらじおと』のゲストコーナー。
2018年2月22日のゲストは新井紀子さんでした。
Twitterで読解力などについて興味深いツイートを拝見していて、数学者でもあることから、とても楽しみにしていました。
ラジオでお話しした内容を自分なりにメモしましたので、こちらで共有したいと思います。
数学者からの視点
- 数年前は人工知能学者と思われていたが、もともとは数学者。
- もともと、AIに関心がなく好きではなかった。
- AIを数学という視点で見ると、次のように考えられる。
- コンピュータは徹頭徹尾、数学でできている。
- 言葉の「意味」がわかる方法が数学にはないことはわかっていた。(20世紀半ば)
- つまり、AIには人間の言葉の意味を理解できないはずだ。
「東ロボくん」を始めたきっかけ
- 2000年代後半の機械学習の状況を見て、「ホワイトカラーの仕事はAIに奪われるのではないか」と思うようになった。
- このことを2010年に本に書いたが、あまり信じてもらえなかった。
- 加えて、AIの「良いところ」ばかりがアピールされていた状況だった。
- なので、「AIはここまではできるけど、ここからはできない」ことを見せないといけないと思った。
- そのために、AI(のちの「東ロボくん」)は東大に受からないことを証明しようと思った。
東ロボくんの結果を受けての危機感
- 高校3年生と同じテストを受けて、東ロボくんは偏差値57を2年連続出した。
- この成績は、東大には入れないが、有名私大には合格できるレベル。
- これが表すのは、大学の卒業生の多くがAIの下で働くようになるということ。
- つまり、奨学金で大学に入っても、低賃金で返済できないということ。
- 大学に入るのがハイリスク・ハイリターンになる。
人間の読解力に問題があるのではないか
- 東ロボ君が出した結果について考えているうちに、子どもたちの文章の読み方が変だと気づいた。
- 教科書や新聞などを題材に読解力をテストしたところ、正答率が低かった。(子どもたちは真剣に回答したにもかかわらず)
- 約4万人の調査を通じて、中学生の半数は教科書を読めない状態で卒業しているのではないかということがわかった。
- 東ロボくん偏差値57は、人間に読解力がないことを表しているのではないか。
- ちなみに、読書習慣や生活習慣や通塾経験は読解力テストの結果と相関はないようだ。
読解に必要なことは「動物としての力」
- 地球で生きる生物として必要な感覚(暑い/寒い、危険察知)や生きる力がまず必要。
- 番組中では「ゴリラ力」と言っている。
- これに加えて、状況判断や常識判断の力が必要。
- 子どもたちにいろいろな環境を経験させるのが1つの方法かもしれない。
- 例:家の中に「文字」を増やす、家族や親戚との交流、家族外の人との交流など
最新刊『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』
- 作者: 新井紀子
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2018/02/02
- メディア: 単行本
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【2018/3/10追記】『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』読書メモ
上で紹介した本を読み、自分が思ったことをブログ記事にまとめました。
読んでいただけるとうれしいです。