『数学ガール/ポアンカレ予想』第1章 読書メモ
『数学ガール』シリーズの第6巻『数学ガール/ポアンカレ予想』、とても楽しみにしていました!
- 作者: 結城浩
- 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
- 発売日: 2018/04/14
- メディア: 単行本
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発売前に目次を見たところ、位相空間・非ユークリッド幾何学・位相幾何学・微分幾何学・微分方程式などを約400ページで概観する内容だと理解しました。
どれも学生時代に消化不良に終わった部分です。*1
これまでで最も苦戦することが予想されますが、なんとか読み進めたいと思います。*2
『ポアンカレ予想』を読むにあたって
つまずいた部分や証明を要した部分、気になった部分をブログにメモしながら読もうと思います。今のところ、章単位に記事を作る予定です。
というわけで、第1章『ケーニヒスベルクの橋』からスタートです。
第1章のキーワード
- 一筆書きができるための必要条件と十分条件
- グラフ(頂点、辺、頂点の次数、ループ、有限性、連結性)
奇点が0個のグラフを一筆書きした経路がループになること
22ページに書いてある内容です。
ここで考え込みましたが、次のように考えて解決しました。
【証明】
奇点が0個のグラフが一筆書きできたとして、その経路がループにならない(つまり、始点≠終点)と仮定する。
これは14ページの2つ目の●の場合であり、始点と終点がどちらも奇点であることになる。
これは奇点が0個であることに反する。(証明終わり)
「ループ」は辺だけでなく頂点も含む
24ページに一筆書きの経路の構成方法が書かれていて、「ループの中から、まだたどっていない辺を持つ頂点を見つける」とあります。
ノートに図を描きながら読んでいましたが、「ループは辺のみで構成される(頂点は含まない)」と思っていたためにハマりました。
ループはグラフの一部なので、辺だけでなく頂点も含むと気づいて解決しました。
連結なグラフだから辺はすべて取りつくせる?
33ページのユーリの鋭い指摘に対する僕の回答の理解がまだ不十分です。
グラフの連結性と連結成分の関係がうまくつかめていないので、ここは宿題にしておきます。
大学で位相空間を学んだときも、連結性の議論は苦手だったなぁ…。
(2018/4/20 追記)理解できました!
この記事を書いた後、Twitterで ぼんてんぴょん(Bontenpøn)さん に教えていただき理解できました!教えていただいた内容を引用します。
作ったループの各頂点を始点として、同じ作業を再帰的に呼び出すイメージを持つと分かりやすいかもしれません。
この再帰呼び出しは、(ループを取り除いたあとで)孤立していない頂点だけに対して行うと考えても悪くはないけど、そんなの関係なくループの全頂点に対して呼び出して、ただ未踏の辺がないときは何もせずに即座に戻ってくると考えた方が良い。
そうすると結局、「辺がゼロ本の連結グラフ(つまり一点のみ)は一筆書できる」という事実に行き着き、逆にそれを出発点として、辺の数の帰納法で任意の本数の辺を持ち、偶点のみからなる連結グラフが一筆書できることを示せる。
(引用元:https://twitter.com/y_bonten/status/986971706727133184)
再帰的という言葉でピンときました。24ページの《グラフで一筆書きする手順》は再帰的手続きだと気付かせてくれました。
ありがとうございました!
そのほか気になったことや感想など
- 一筆書きの必要条件と十分条件。聞いたことはあるけど、頭から抜けていました。いい復習になりました。
- 連結性が出てくるということは、グラフに対して何か位相が入るということ?どんな位相?
- そもそも「グラフ」は集合の言葉でどのように書き下すんだろう?頂点と辺の単なる直和集合ではないよなぁ。(いつかやった気がする)
- 問題1-2を考える際に、反例から有限性や連結性の条件を付け加えたところがおもしろかった。