7931のあたまんなか

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特集「複素関数の質問箱」まとめ(その2)~『数学セミナー 2018年6月号』読書メモ

数学セミナー 2018年6月号』の特集「複素関数の質問箱」を引き続き読んでいます。

前回は、複素数の定義とその性質、そして複素関数と実関数の関係についてまとめました。

wed7931.hatenablog.com

今回は複素関数微分について、「複素微分とはなんですか.ふつうの微分とはどう違うのですか.」(金子元さん)をもとにまとめました。

この記事で扱っているのは、次の3つです。

  • 複素微分の定義
  • コーシー・リーマンの関係式
  • 正則関数の性質

なお、今回は手書きの資料をベースに記事を構成しています。見づらい部分がありましたら、申し訳ありません。

複素微分の定義とコーシー・リーマンの関係式

まとめの概要は以下の通りです。

  • 実数値1変数関数の微分と実数値2変数関数の偏微分の性質のおさらい
  • 複素関数微分の定義とその性質
  • 3種類の関数の共通点:“線形写像で近似できる”こと
  • コーシー・リーマンの関係式の導出

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複素関数は“角度を保つ”写像

上で見てきた  h(z)=zF'(z) を違う見方で考えます。

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正則関数の性質と解析関数

概要は以下の通りです。

  • 正則関数:領域上での複素微分可能性
  •  k 導関数:実関数と同様の定義
  • 解析関数:べき級数展開可能な関数
  • 上の3つは、複素関数では“同値”な概念
    • やや雑な言い方をしています。

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その他

本文では、一致の定理や上記の性質が実関数では成り立たない例が書かれています。

なお、一致の定理の詳しい議論は後続の記事に書かれています。

個人的な感想

コーシー・リーマンの関係式は学生時代に勉強したことがありますが、その式を導出するための動機付けが初めてわかりました。

ちなみに、学生時代は複素関数が実部と虚部を表す2変数関数を使って  F(z) = \varphi(x,y) + i \psi(x,y) と表せることが、なぜか納得できませんでした。おそらく、関数(写像)の概念の理解が不十分だったためだと思います。

手書き資料のPDF版

これまでに説明した5枚の手書き資料をPDFにして以下の場所に置きました。

www.dropbox.com