『数学ガール/ポアンカレ予想』第8章 読書メモ
この記事は『数学ガール/ポアンカレ予想』第8章の読書メモです。
第8章のタイトルは「驚異の定理」。
「驚異の定理」は著名な数学者・ガウスが発見した定理です。 *1
この定理の名前は聞いたことがありましたが、主張は知りませんでした。微分幾何学の講義で出てきたというくらいの印象です。
この章の内容をざっくり説明するとこう言えます。
- 平面上の三角形と球面上の三角形の面積を、三角形の内角の角度に焦点を当てて考える。
- この考察でキーになるのが、曲面の曲がり具合を表すガウス曲率という量である。
個人的には、これまでほとんど知らなかった(球面を含む)曲面上の三角形に関する知見が得られたのが収穫でした。
なお、第7章の読書メモはこちらです。
【目次】
第8章のキーワード
球面上の三角形とその内角って?
第8章を読んで、まず引っ掛かったのが、「球面上の三角形とその内角の定義は?」ということでした。
思い起こすと、学生時代にも引っ掛かっていて、そのままの状態になっていました。
検索するといくつかのページが出てきますが、以下のサイトの「球面上の三角形,角度とは」がわかりやすかったです。
第4章に出てくる大円の説明を読んで、次の2つに気付いて球面上の三角形の内角を理解しました。
- 球面上の大円が断面となる、球の中心を通る平面で球面が2等分されて、
- 2つの大円によって作られるそれぞれの平面がなす角を考える。
ガウス曲率を自分なりに理解する
まずは、この理解が必要かと思います。曲線と曲面を明確に意識します。
- 曲率:曲線について定義されるもの
- ガウス曲率:曲面について定義されるもの
本文の説明を読んで、ガウス曲率を次のように理解しました。
の最大値・最小値が取れるかどうかは横に置いています。
この後はガウス曲率が主役
第8章の後半はほとんどがガウス曲率に関する主張です。
読みながら取ったメモの中からいくつかをピックアップします。
ガウス曲率は曲面を伸び縮みさせない限り不変である。
つまり、ガウス曲率が異なる曲面は伸び縮みさせない限り変形できないと言えます。
これは何らかの同相性を意味しているんでしょうか?
ちなみに、紙を筒状にしたり波打たせたりすることは、「伸び縮みさせない」に含まれます。
驚異の定理
次の2つの概念を定義します。
驚異の定理は、本文で次のように表現されています。
ガウス曲率は外在的な量で定義されているのに、内在的な量で表現できる。
最初はこの定理のありがたみがよくわからない中、第8章の末尾にあるこの文章を読んで少し理解できました。
「外の世界」がなくても、我々の宇宙についてその「曲がり方」を語ることができることを強く示唆したのだ。
― 砂田利一『曲面の幾何』