『数学セミナー 2022年12月号』読書メモ
この記事は 数学物理 Advent Calendar 2022 の18日目の記事です。
『数学セミナー 2022年12月号』を読んで思ったことを書いてみます。
特集:洋書のすすめ
英語の数学書の読み方や選び方、洋書についてのエピソードなどが詰まった特集です。
数学の英語は難しくない
この表題は、この特集の最初の記事「洋書で広がる世界」の中の見出しから引用しました。
私が数学科の学生時代に、セミナーなどで洋書を読みましたが*1、まさに同じようなことを思いました。
数学特有の言い回しはいくつかありますが、それに慣れてしまえば、中学+αで習う基本的な英語の文法の知識で十分読むことができます。
洋書を読み始めたときには、難しい言い回しだと感じることがありましたが、セミナーなどを通じて勉強していく中で気にならなくなったので、慣れの問題だったのかなと思います。
数学書で出てくる英語表現の例は「洋書で広がる世界」の中に書かれています。
数学図書室は楽しい場所
大学の図書館や図書室に触れた記事が複数あります。
特に、大学の数学科図書室の司書の方の「図書室と洋書」というコラムも含まれています。
私も修士時代には、数学図書室にはよく行っていました。
特に修士論文を執筆しているときには、毎日のように行っていましたし、夜中に真っ暗な廊下を歩いて図書室に行っていたことを思い出します。
個人的にはとても楽しかった思い出です。
その他の気になる話題
本題である洋書とは直接関係がないものの気になる話題として、作図問題に関することが気になりました。
作図問題というと、「コンパスと目盛りがない定規を使う」のが前提です。
「おすすめの洋書/数学英語のすすめ(代数編?)」という記事では、コンパスと目盛り付き定規を使うと角の3等分が作図できる(アルキメデスの作図)との記載がありました。
コンパスと定規による作図以外に、折り紙による作図があるのは知っていましたが、目盛り付き定規を使う作図というのは聞いたことがありませんでした。
言われてみるとそういうのはありえますね。
連載:数の世界の千一夜 第9回
前半は素数の分布に関する話題です。
キーワードを挙げると、算術級数定理 / ベルトランの仮説 / 素数定理 / 双子素数予想などです。
後半は、「素数の集合は、任意の長さの等差数列を無限に含む」というグリーン・タオの定理を(何段階にも)一般化した素元星座定理が出てきます。
2022年9月24日のMATH POWER 2022で関 真一朗さんが説明されていた定理です。
この定理に至るまでのエピソードを聴いて、非常に感動しました。
この場面、鳥肌が立った。 #Mathpower https://t.co/R8vkOzw1LI
— 7931 (@wed7931) 2022年9月24日
記事の中に出てくる“星座”の図を見ると、定理の主張がとてもよく理解できます。
*1:セミナーの中で私が読んだ数学書で書名まではっきり記憶にあるのはこの3冊です。これ以外に、修論執筆時はいろいろと読み漁りました。 A Friendly Introduction to Number Theory / Reflection Groups and Coxeter Groups / Representations and Invariants of the Classical Groups