7931のあたまんなか

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「数学セミナー 2017年10月号」の読書メモ ~ その1

数学セミナー 2017年10月号」の読書メモです。
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不可能性の証明/古代ギリシャから現代まで

  • 数学において「~は不可能である」ことが証明されることは、後ろ向きのことではなく、新しい問題のスタート。
  • 例えば、どこまで仮定を緩めれば「不可能ではなくなる」のかを考える研究に発展するなど。

ギリシャの三大作図問題とガロア理論

  • 古代ギリシャ数学での「ギリシャの三大作図問題」(以下の(1)~(3))は、2000年以上経ってからすべて「不可能である」ことが証明された。
    • (1) 与えられた立方体の2倍の体積を持つ立方体の1辺の長さを作図できるか?
    • (2) 与えられた角を3等分するように作図できるか?
    • (3) 与えられた円と同じ面積を持つ正方形の1辺の長さを作図できるか?
  • この証明の主題はガロア理論。これは、一般の代数方程式(実数係数の多項式)が解の公式を持つかどうかを判定するために使われ、代数学の基本である群や体を土台とした理論である。
    • もう1つの基本の「環と加群」はどんな応用があるんだっけ…?
  • ギリシャの三大作図問題」は幾何学の問題だが、いずれも代数学の問題に置き換えることができ、最終的には代数学の問題として不可能性が証明された。

連続体仮説

  • 連続体仮説とは、「実数全体の集合\mathbb{R}自然数全体の集合\mathbb{N}の真に中間の濃度を持つ\mathbb{R}の部分集合は存在するか?」という問題。(ヒルベルトの第1問題)
  • ゲーデルの第一不完全性定理によると、どのように公理を設定しても証明も反証もできない文が存在する。
  • 公理的集合論で標準的に使われるZF公理系においては、連続体仮説が「証明も反証もできない文」となる。
    • 定理(ゲーデル, 1938): ZFに連続体仮説を追加した公理系は無矛盾である。
    • 定理(コーエン, 1963): ZFに「連続体仮説の否定」を追加した公理系は無矛盾である。
  • つまり、連続体仮説を満たす集合は「あってもなくてもおかしくない」ということがわかり、そこから公理的集合論の研究がさらに進んでいるとのこと。
    • 上の2つの定理が同時に成立することを知ったことが、10月号でいちばんの衝撃でした。
    • 恥ずかしながら、これまでは\mathbb{R}\mathbb{N}の間の濃度を持つ集合は「存在しない」と思い込んでいました。


他の記事のことも書こうと思いましたが、今回はここまでにします。
(印象的なのは、超越数、アローの不可能性定理、リーマン面の3つ)

想像以上に詳しく書きすぎました。これからはもっと簡潔に書くようにします。