7931のあたまんなか

数学/読書メモ/自分の考え方/水曜どうでしょう/交通関係(道路・航空)など、頭の中にあることを書き出しています。

『数学セミナー 2023年2月号』読書メモ

数学セミナー 2023年2月号』を読んで気づいたことの読書メモです。

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特集:平行線の交わる世界

今回の特集のテーマは射影幾何学です。

学生時代に、多様体の例として射影平面や射影空間を勉強しましたが、ほとんど理解できないままでした。
それから10年以上経ってから、『数学ガール/ポアンカレ予想』でクロスキャップの図を見て、射影平面が少し理解できるようになりました。
そして、現在読んでいる『正多面体と素数』では、立体射影の計算がたくさん出てきていて、射影幾何学とまた向き合っています。

こういう感じで射影幾何学をしっかり理解できたとは言えない状態ですが、射影幾何学が気になったらこの特集記事に戻ってくればよさそうだと感じさせてくれる内容でした。

キーワードを挙げると以下のようになります。

  • 射影変換からみた円錐曲線
  • 直線の交点に関する主張を点を通る直線の主張に読み替える双対原理
  • 建築の視点から見た射影幾何学の歴史
    • デザルグの定理、ファノ平面
  • 射影空間の公理
  • 射影平面とアフィン平面(座標平面)の関係
  • 有限射影平面についての未解決問題
  • 3次元空間内でみる射影平面
    • 埋め込みとはめこみ、貼り合わせで得られる閉曲面
  • 射影空間と代数幾何
    • 立体射影、複素射影空間、代数曲線、ベズーの定理

中でも、建築の視点から見た射影幾何学の歴史を扱った記事「射影幾何学の夜明け」は、珍しい視点でおもしろい内容でした。

連載:目で視る曲線と曲面 第11回

第10回のガウス曲率に続いて、今回は平均曲率について扱われています。

いろいろな曲面のガウス曲率と平均曲率が例示されており、それを表形式で整理してみました。

表を見ながら、定義に立ち返って考えてみると、それぞれの曲率の符号(正/負/ゼロ)を判定する“感覚”がわかってきました。
また、いくつかの曲率を計算する中で、学生時代にほとんど理解できなかった第1基本量や第2基本量に改めて触れることができました。

連載:組合せ論彷徨 第11回

マヤ図形とヤング図形の関係、プリュッカー関係式とグラスマン多様体などが扱われていましたが、自分には理解が難しい内容でした。
一方、筆者とWallach, Howe, Kostantの三氏との思い出などが書かれており、三氏とも私の修士論文の元ネタの論文や論文の著者であることもあって、個人的に興奮しました。

連載:ゲームに宿る数学の力 第11回

副題の「ゲーム空間の多様性/特殊相対性理論のゲーム空間」にあるように、特殊相対論の空間をベースにしたゲームがあることを知りました。
「相対論的ゲーム」というようで、やってみようかなと思います。
記事の内容も、特殊相対論の概説のような感じで楽しかったです。