7931のあたまんなか

日々考えること、読書メモ、数学、交通関係など。うつと生きる30代後半の男です。

「数学セミナー 2017年10月号」の読書メモ ~ その2

数学セミナー 2017年10月号」の読書メモの続きです。
前回の記事はこれです。

wed7931.hatenablog.com

トポロジー(結び目)における不可能性

  • 「結び目がある紐が2つある。一方の紐を持ち上げて手で自由に変形して、他方に重ね合わせができるか」という問題を扱っている。
  • もっと簡単に言うと、「与えられた結び目がほどけるか否か」という問題。
    • 実はこれは未解決問題!
  • かなりの部分は解けてきたが、まだ未解決の部分もある。
  • ポイントは「ジョーンズ多項式の次数」と「種数」らしい。
    • 多項式は理解しやすいから、幾何学でもよく出てくるんだろうな。
    • 種数は、曲面の穴の個数に紐つくもの?
  • 現在注目されているのが、クロスキャップという概念らしい。
  • 自分はこれくらいしか理解できなかったです…。

ヒルベルトの第10問題

  • ヒルベルトの第10問題とは、「ディオファントス方程式が整数解を持つかを有限的に判定する方法を与えよ」という問題。
  • この問題は、1970年にマチャセビッチ(Matiyasevich)によって否定的に解決された。この解決までの流れを説明したのが、この内容である。
  • ゲーデルは「算術の命題」を算術の論理式を通して「自然数へのコード化」を提案し、不完全性定理を証明した。
    • 算術の論理式とは、自然数に関する記号 0, 1, +, \cdot, \lt と論理記号 \wedge, \vee, \neg, \rightarrow, \leftrightarrow, \forall, \exists 、等号 = 、変数 x, y, z, \ldots を用いて書ける論理式。
  • 不完全性定理自然数に関わる定理で、ヒルベルトの第10問題は整数にかかわる問題だが、ラグランジュの四平方定理などを使って、自然数に関する問題に書き直せる。
  • ヒルベルトの第10問題の否定的解決は、「不完全性定理」と枚挙可能な集合という概念に関する「デーヴィスの予想」を結び付けて示される。
  • 枚挙可能な集合とは、 n 個の自然数の集合 \mathbb{N}^n の部分集合について、計算可能という概念を通して定義される。
    • このあたりの議論は、まだ自分でも追えていませんが、紙とペンでじっくり追えば難しくないかも。
  • この記事の後半では、上記の内容に関連して、有理数全体の集合 \mathbb{Q} や 実数全体の集合 \mathbb{R} についての命題の真偽を判定する計算手順の存在について書かれている。
  • 自分としては、「そもそも計算とは何か?」というのが気になった。実際に、この記事の末尾で「計算」について言及されている。

超越数論における不可能性

  • 超越数の紹介に先立って、無理数について説明されている。この記事では、 \sqrt{5}自然対数の底 e無理数であることの証明が紹介されている。
    • e の無理性の証明は e^x のテーラー展開を用いている。
  • e の無理性の証明で出てくる「誤差限界」という概念に着目して、超越数の存在を示唆するリュービルの定理が紹介されている。
  • 後半では、リュービル数 (例: \sum_{n=0}^{\infty} 10^{-n!} )と  e超越数であることの証明が書かれている。
    • どちらの証明も、高校程度の微積分と「十分大きい」の言い回しに慣れていれば追うことができる。
  • 以下、自分が気になったところ。
    • リュービル数全体の集合は超越数全体の集合において「少ない」とのこと。具体的には、リュービル数全体の集合はルベーグ測度0。
    • これに関連して、「ルベーグ測度」と「集合の濃度」には何か関係性があるんだろうか?
    • 誤差限界を与える不等式はディオファントス不等式と呼ばれ、組合せ論にも関係するらしい。具体的にどんなものなんだろう?

不可能性の証明パズル

  • 15パズルやケーニヒスベルクの橋など、設定が理解しやすいパズルについて、「○○できないこと示せ」「不可能であることを示せ」などを集めて紹介している。
  • 書かれている証明もわかりやすく、中学生でも理解可能と思われる。
  • 使われている数学は、置換、整数の偶奇性、鳩の巣原理、因数分解など。
  • 個人的には、こういうパズル系の問題は苦手だが、証明が非常にシンプルで驚いた。

アローの不可能性定理

  • 人が複数人いて異なる考えを持っている状態で、あることを決める際に「優れた決め方」とは何かを考えるのがテーマ。
    • 「社会的選択理論」といい、経済学から発展したテーマらしい。
  • 経済学者ケネス・アローが構築したモデルをもとに説明している。
  • 個人の集合 N = \{1, 2, \ldots, n\} と選択肢の集合 X=\{x_1, x_2, \ldots, x_m\} があって、個人ごとに  X の中に順序(全順序)を定める。
    • 「個人  i x_k x_l 以上に好む」という順序をつける。
  • この順序にいろいろな条件(満場一致性、独裁制、無為など)をつけて、どのような「決め方」があるかを議論している。
  • 社会における選択について、数学の概念である「順序」というものを入れて議論しているのが非常に印象的。順序がこのように使われるのは、目からうろこだった。
  • 記事の終盤にある以下の言葉が印象的。

もし不可能性の源泉が満場一致制にあるのならば、主権者たちの意思に基づき統治を行おうとする民主主義の不可能性が示されたといってもよいだろう。 (『数学セミナー 2017年10月号』38ページ)

その他の連載

フィボナッチの主題による変奏曲2

  • 前月号では、2次正方行列を使って、フィボナッチ数列の一般化を説明している。
  • 今月号では、3次正方行列を使った一般化の説明である。
  • 現時点ではまだ読み切れていませんが、前月号も含めて、行列やその固有値の計算の練習問題になるかもしれない。

計算するたのしみ--スターリング数のいる風景 (第9回: 差分と微分)

  • タイトルのとおり、差分と微分の関係の説明。
    • 数回前の連載では、今回よりも少し易しい説明があったような気がする。
  • 母関数の計算のように、収束条件を気にせずに無限級数の計算をするなど、ついつい慎重に考えがちなところを大胆に進めるのが気持ちいい。
  • 先の「フィボナッチの主題による変奏曲2」もそうだが、『数学ガール』の続編として読むと、より楽しいかも。

www.hyuki.com

楕円積分と楕円関数--おとぎの国の歩き方 (第7回: 代数関数のリーマン面入門(1)--帰って来ても戻っていない)

  • これまでは、楕円積分や楕円関数の導入などを行っていた。
  • ここからは複素数の世界に入るため、今回はリーマン面の説明が行われている。
  • 学生時代は複素解析がよくわからなかったけど、今回の内容でリーマン面の必要性やその幾何的なイメージが少しできてきた。

超モース理論をめぐる旅 (第13回: はめ込みと埋め込み(その3))

  • 第10回くらいまではなんとなくわかっていましたが、今はちょっとついていけていません…。
  • この連載で、ホモロジーの言いたいことは少しわかった気がします。
    • 学生時代にホモロジーの講義を受けましたが、見事に振り落とされました。