7931のあたまんなか

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複素数をより受け入れられやすく導入するには?

先日、複素数の導入に関連して、このようなツイートをしました。予想外にいろいろな反応があり、驚いています。

複素数は『存在しない数』として、否定的な表現で導入されることがある。有用性を強調すれば、より受け入れられやすいのでは?」という内容です。

このツイートは、2018/5/8 17:00時点で、278RTと902Favがありました。私のTwitter経験の中で最も多くの反響です。

私の見える範囲で、関連するツイートをモーメントにまとめました。

twitter.com

この中に興味深い意見がいくつかあったので、ピックアップします。

「存在しない」と「知らない」を区別する必要がある

これは私も大きく同意です。

  • 実数の範囲では、2乗して-1になる数(虚数単位  i = \sqrt{-1} )は存在しない。
  • 逆に、数の範囲はもっと広いと考えれば、  i という新たな数がある。

この2つをごちゃごちゃにしているのが問題ではないかと考えています。

そもそも「存在する数」とは?

関連して、「『存在する数』とは何か?」という声もありました。

  • 1は存在する?
  • 自然数を認めたとして、整数(特に負の整数)、有理数、実数は存在する?

数学科出身の私としては、このような意見が出てくるのは自然だと思っています。

高校数学で「複素数」と「複素数平面」を学ぶタイミングが離れている

私の高校時代を思い出すと、複素数の有用性やおもしろさを味わえたのは複素数平面でした。

複素数極形式三角関数の関係や複素数の積を使った回転の表現を知り、複素数がすごいものだと感動した記憶があります。

これは学習指導要領に関係があると思われます。

私が高校に入学した1996年度は、数学Bで複素数の導入と複素数平面が同時に扱われていました。複素数を知って、すぐに複素数平面での応用を学びました。

その後の学習指導要領の改訂で、

  • 1999年改訂:複素数の導入は数学Ⅱ、複素数平面は高校数学で登場せず。
  • 2008年改訂:複素数の導入は数学Ⅱ、複素数平面は数学Ⅲで学ぶ。

というようになります。

つまり、複素数平面を学ばなかったり、学んでも複素数の導入から1年程度経過してからという形になりました。*1

そのため、複素数の有用性やおもしろさを味わいにくいのではないかと思っており、そのようなツイートも多くありました。

複素数の導入のアイディア

このツイートのアイディアは目からうろこでした。

既知の数直線では、-1を掛けることは原点中心に180度回転させることに相当する。

ということから自然に話題を展開させるのは素晴らしいです。

おわりに

このほかにもいろいろなお話がありました。

  • 物理学での式の記述に必要であることが有用性の一つ*2
  • なぜ虚数の導入だけが特別扱いされるのか?
  • そもそも、高校レベルでは「数を導入する」という概念がない/存在しないのかも。
  • 代数学の基本定理にまでつながる話

予想以上にいろいろ勉強になりました。みなさんありがとうございました。