7931のあたまんなか

数学/読書メモ/自分の考え方/水曜どうでしょう/交通関係(道路・航空)など、頭の中にあることを書き出しています。

『数学ガール/ポアンカレ予想』第2章 読書メモ

数学ガールポアンカレ予想をブログにメモを取りながら読み進めています。

第1章のメモはこちらです。

wed7931.hatenablog.com

今回は第2章『メビウスの帯クラインの壺についてのメモです。

数学の分野としては第1章と同じく位相幾何学ですが、第2章の方が読み進めるのに苦労しました。おそらく、平面から空間をイメージするのが難しかったのだと思います。

【目次】

第2章のキーワード

  • 閉曲面ではない曲面:シリンダー、メビウスの帯
  • 閉曲面である曲面:球面、トーラス、クラインの壺射影平面
  • 閉曲面の向き付け可能性
  • 閉曲面の展開図と貼り合わせ、連結和
  • 閉曲面の分類

学生時代に一度勉強して、用語は聞いたことはあるけど…

この章の内容は、学生時代に講義を通して、一度勉強した内容でした。

閉曲面や向き付け可能性という用語、辺の同一視による貼り合わせの概念などは知っていました。ですが、読み進めることで、記憶が断片的で内容がほぼ理解できていないことがわかりました。

特に、最も基本となる閉曲面の定義があやふやでした。「境界がない」という重要な性質があることを忘れていました。

しかし、じっくり読んでいくことで、理解を進めることができてうれしい気持ちになりました。

貼り合わせをじっくり考えてみた。

「閉曲面の展開図を考えて、辺を同一視して貼り合わせる」という概念が、この章のポイントです。

貼り合わせについて、納得するのに時間がかかったポイントが3つあります。それを説明します。

(1) 射影平面のイメージが難しかった。

球面やトーラスの展開図は容易にイメージできましたが、射影平面のイメージがなかなかできませんでした。

ですが、本文中にある図を完成形として先に頭に入れて考えることで、イメージができました。

こちらの動画も非常にわかりやすいです。*1


The cross-cap

(2) クラインの壺の展開図が  12\bar{1}2 でも  1122 でもいいのはなぜ?

閉曲面の分類の中で出てくるこの事実。理解するのに苦労しました。

本文中では、  12\bar{1}2 の展開図を半分に切って反転させて貼り合わせるという方法で説明しています。

自分が引っ掛かったのは、「反転させて貼り合わせる」という部分です。反転させていいの?と思ったわけです。

よく考えて、反転させても問題ないと納得しました。こういう道筋で納得しました。

  • クラインの壺の展開図からいったん離れて、例えば立方体の展開図を考える。
    • 6個の正方形のうち1個を切り取って、対応する辺を貼り合わせることを考える。
    • 正方形は反転させても合同で表裏はないから、反転させても対応する辺を貼り合わせれば、正しい展開図になる。
  • クラインの壺に戻る。
    • 展開図を半分に切るのはOK。
    • 切った断片は伸縮可能で表裏はないから、立方体と同じ考え方で、対応する辺を貼り合わせさえすれば正しい展開図になる。

(3) クラインの壺 = 球面と射影平面2個の連結和?

紙に図を何個も描いて納得しました。最初は頭の中だけで考えていましたが、ギブアップして基本に立ち返って紙に描きました。

考えた道筋はこちらです。

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そのほか気になったことや感想など

2人乗りの浮き輪と八角形の関係

  • 八角形の辺を貼り合わせると、2人乗りの浮き輪になることは知っていた。
  • その逆の「2人乗りの浮き輪を展開すると八角形になる」ことを明確に意識したのは初めてかもしれない。

メビウスの帯の重要性を認識

貼り合わせについてのミルカさんの言葉

  • 「図形と展開図の対応が頭の中で付けられるなら、実際に3次元的に貼り合わせる必要はもうない。矢印の付いた辺同士を、向きを合わせて同一視すればいいのだから。数学での図形の貼り合わせは、同一視に他ならない」(55ページより引用)
  • 数学をする上での重要なキーワードは同一視

*1:結城さんがTwitterで紹介されていました。