『数学ガール/ポアンカレ予想』第10章 読書メモ
『数学ガール/ポアンカレ予想』第10章の読書メモです。これが最後の章になります。
- 作者:結城 浩
- 発売日: 2018/04/14
- メディア: 単行本
第10章のタイトルは「ポアンカレ予想」。
この本のタイトルであるポアンカレ予想を読み解きます。
これまでの幾何学を中心とした数学の準備がどのように結実するかが楽しみです。
なお、第9章の読書メモはこちらです。
【目次】
- 第10章のキーワード
- ポアンカレ予想の主張からわかること
- ペレルマンによるポアンカレ予想の証明と物理との関係
- 数学の論文検索はMathSciNetしか知らなかった
- 《知らないふりゲーム》の具体例がわかりやすい
- 最初のポアンカレ予想はホモロジー群を使ったものだった
- おわりに
第10章のキーワード
ポアンカレ予想の主張からわかること
フェルマーの最終定理の主張は小学生でも十分に理解が可能ですが、これに比べるとポアンカレ予想の主張は少し難しいです。
ペレルマンによるポアンカレ予想の証明と物理との関係
証明のいくつかのポイントは本文に書かれています。(サーストンの幾何化予想やハミルトンプログラムなど)
その証明の中では、リッチフロー方程式が使われています。
本文によると、次のように言えるようです。
- 物理学の熱方程式に対応するものがリッチフロー方程式
- 熱方程式の温度に対応するのが、リッチフロー方程式のリーマン計量(から計算されるリッチ曲率)
一見して無関係のように思えますが、本文を読んでいると「なるほど…」という気分になりました。
特に、曲率と温度の均一化をイメージさせる表現がある次の部分が印象的です。
- 355ページ
- 364ページ~367ページ
- 376ページ
数学の論文検索はMathSciNetしか知らなかった
数学科の学生時代('00年代前半)は、論文検索でMathSciNetをよく使っていましたが、arXivは知りませんでした。
MathSciNetとarXivについては以下のサイトに詳しく書かれています。
《知らないふりゲーム》の具体例がわかりやすい
『数学ガール』シリーズでは、《知らないふりゲーム》がよく出てきます。
本文に書かれている例が非常にわかりやすいと感じました。
ただの集合にどんな構造を入れると、何が議論できるかをまとめておきます。
最初のポアンカレ予想はホモロジー群を使ったものだった
ポアンカレ予想の変遷は、『数学セミナー 2018年9月号』の特集「間違いから発展した数学」でも取り上げられていました。
数学セミナー 2018年 9月号 間違いから発展した (数学ゼミナー)
- 発売日: 2018/08/10
- メディア: 雑誌