7931のあたまんなか

数学/読書メモ/自分の考え方/水曜どうでしょう/交通関係(道路・航空)など、頭の中にあることを書き出しています。

水曜どうでしょう班が訪れた場所に行ってみた(四国編)

硬い記事が続いたので、ちょっと息抜きです。

自分が行った水曜どうでしょう班が訪れた場所、前回は東日本編でした。

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今回は四国編です。

2002年9月と2003年9月に、讃岐うどんを食べるために四国に行きました。

四国八十八ヶ所は5寺行きました。残り83寺。

『日本全国絵ハガキの旅1』以降、どうでしょう班が巡っている四国八十八ヶ所
そのうち、5寺に行きました。

https://lh3.googleusercontent.com/TeijIagv4OZzKpKAglY8C7kaW7hyhzfBzpz-m0n6qKqsHV8q2G1UQ4EWoGVcGczps10f1XlgxmlSxfrskG_-F5F3tf8eY49H7_ICIUyQgZVQLQvPi6AQN-B-xroA_takOJ_OPL4N3lTvHw6GHcVp25EVA-rSMDTdsEvn6RqlxnKGZXKn52bBNs0qNvEoKKxjC57ndqQ9F_HGg4sg_4NFeMYtdAWJfmi3rVNVe3NPUlOu51HfUKYhYj7tpag-QtWEvfklb29xHs0V9mViv2-0bENVXTxr4Bmw0E_dFc_dBUa7MbmL47H1TORDZmCHNgzPM-xzmq1HdQWzXWa-wwK_VGjMHKCuO2d-CmyDSI6nz22Glg8BeLRwOPFlE4uZXjvSalWhE7Vj2sHpVWaO6T8sp0Qi2jm5J403yWThQF9hx68bMSg5eVg1Qz3LESAgMvH720hU0a1AcYk2vEiCyyNYUCmo1ju51a4o0ddSmHPyI0HD2wkmKlBFxg3ZCMjmu9jmsWqtxdqfU8FJPpCdXkLUgOM020VHQRCt4YvOmNLaJt2tLpDWOg-yCqtN8fxCj0jUOqYRGX-k6_e3lJTAXZuPz0Ua0dhNG3txQiYlDdNv=w478-h637-no

1番と88番は行ったので、全部制覇と言ってもいい?

うどん屋は3店

どうでしょう班が行ったお店は3つ行きました。

これはわら家の釜あげうどんの写真です。
ここはもう一度食べたい!

https://lh3.googleusercontent.com/7Zbo7pUn9f5l8Pr1JnDSaC6NRqYPIaH6AH0V82ea7GOE6GTLe0sf_htjAKRKSRR8D6lk9EBUCETwWHZIZeZ3g38oYkqKYJPcJ04JGFj45I-MsL5anRXkwePjcBdc6I5IVhIvK0x7LsEMG82g5mntl44Ki_n9T9IV8NGGoLvUkQnmBYAtsHp_7WjkUPQ-Ake8M7C2AsN62lWh6CPU6Fnp0OGhju1I6P3E4uI8-bS76KpP917XxLwaNWJlC-viEWV4EI3TOfOZ47aIQQ4oHmkL01EaXHasfVJRarg6lA9FOnpXAa0Tw9bP_-imfYnJQU1ek_VwSnXip50Q7fn60sL4bOBk1HYwrJPFiLWf5MEwxoyo_mkUXDNIgteo7135G2AMAEvI7eX2beLfQZjBSyGd-yQPJofADJwKUe80Kmnb_v_o8aMDp2cnp-CePRkkZe2dBQriUQXC20DqbJgaNBWj32lhZW_vMLTkbIgBTWEl40Oc2aaBKKoQl1GkbUdZaaGBsSxOfNIkUuSknLJM1bUb3Lx_4jTjGCk41TnMxGiYrwauifMmy-gxjIlRcKtD6JOmh-FuHOa1-0cI6yJgIENtp-PymwdfVvKKnIHZ8KLl=w850-h637-no

ミステリー坂

屋島寺に行く山道の中にあるミステリー坂。
上り坂に見えるけど、ギアをニュートラルに入れると車が前に進んで坂を上っているように見える坂です。

四国八十八ヶ所1』でどうでしょう班が訪れた場所です。

https://lh3.googleusercontent.com/mj6GI2Gdnyl6MoBh10ioWxcspnqR_IhCxQy8Gj7IzQvCDYUIUbT-6q7VGxscq0vVPLPOgMU7t_zVqqCi25jK77UHtvtlNL6wa1pMZLMR9FmqoBKusXvoHuujm3qXi0EfQVhRoPvVaERFxo6vUxo4NV5_IogRginVlUK3qW2Ea3ys4V3hstzuj-gZ8wGu4o_YfVYyNN9Wq1p4ZOkKhg8zH1Z3ylRqVPh5xBWwJPNzZWQUMJ2sc2UqtknOdpilmXjkRATy_-3PwjMdr_BtazVM80VWzPUjvdh7BWHhhib0ytC_Q5S4FXUHIkp3BYZqaMB07W4fveponNe71zIBFbClsBtMDoSMJOQJ-XDebmVLbSKRQSHjgtHv4Amw_Rw3XMLiEZUP6X9lQ6_IFQDsQ7-V8GHrMVwuXaUNvNeCaGI1T_2bGorPIhYoeaTy2S0hLNY20pASgpOVUMlTnPjy6j39sJOtQUow_I1mUbvSMT2sDRZWrgw0LBgCxlJpyyIBkuDL0eODMZXNvyUBzw_PookR6sXIUd0XTiGWjQHZpjCLwD0-19amD97FTLEwraQHXAimfqL4JYoRomVwKkJHLHjP2Qv2m4F_U3yRCrAniOTr=w850-h637-no

このサイトに詳しい説明があります。

bqspot.com

ちゃーんこちゃんこちゃんこ ~ 与島PA

『日本全国絵ハガキの旅1』で、瀬戸大橋を使って四国に行くときに立ち寄ったパーキングエリアです。
ライトアップされた瀬戸大橋を、大泉さんが「町の祭りだねぇ」と例えた場所です。

私は昼間に行ったためライトアップは見れませんでした。
写真は瀬戸大橋を渡っているときに撮った写真です。

https://lh3.googleusercontent.com/erSVoXMTDDHJwEjLbaImcRyahZuP28uuh3hjwgLTEQklhMPvtu6vgGAorhrYBViRHJVkN0jcgjAL-Gm2mBY8hQh9H5a7RDinn9GXBI64nfG9jwhLKpxFu4oUgKKvcyLp4-PremHGGvjnwkyrX8wVS7aK7yJQiKGUYX3gSm-BBVaDBdwut4p2rfdViuPBJWMU7GfyyJfzboFSMFUN9BjOtyhnnauDVizOW-mKFgPRSGfPflORaIJaMoxrDg_ozYUIPXlilDzy_BJl0ztuJA7dcA6ZWdmS3Ht8_DDCqbKysYSDq_XMLzBAMqUcPKdleuHrj-NxMCNvPgMtckSXwmLBPU8EOWPRUuu-G7daNVmIp9ZklUXlFX3_ScpH8MsHojdZ-5Kbks2TDIyqgCNbRBsroOz7xu_abaYqTyqniIcf0ZBOJQZV3ZgQ5S8BLwjS7VhRqMzoBXRb-NpO_DFALXIZ8T4XA9cmzydBQ7SYptAOzBX8kNscj-qb_cPFxQ6NICPIoUPGgVUiPtdsTLYBW-V9fM76vTkFRAeVLL-uReh2XpKajwnsVqgUkIL4M8oiQSF-VbVVmkMe_8rBvgok7UAUy7mi_cxJXtILqX8mxZAu=w850-h637-no

次回は九州編の予定です。

学生時代に勉強していた数学(大学3年以降)

以前、数学に興味を持ったひとつのきっかけがフェルマーの最終定理であることを書きました。
その記事の中で、大学1~2年のときに受けていたセミナーの教科書を説明しています。

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ここでは、大学3年以降に勉強していた数学について書こうと思います。

苦手意識があった解析系に飛び込んでみる

大学3年のセミナーで読んだ本はポストモダン解析学(著:ユルゲン・ヨスト、訳:小谷元子)です。

ポストモダン解析学

ポストモダン解析学

代数系は得意でしたが、解析系と幾何系には苦手意識がありました。
幾何系はほんとに苦手でしたが、解析系ならまだいけるかもと思い、この本を読んだと記憶しています。

微分積分学の基本から偏微分方程式までを1冊にまとめた本です。
2~3名で1年かけて輪講し、だいたい中盤まで読んだかと思います。
残念ながら、偏微分方程式まではいきませんでした。

担当教官は、偏微分方程式の分野では有名な研究者の方で、とてもわかりやすく教えていただいた印象があります。

最後の3年は代数系中心に、いろいろな分野を見たいと思った

大学4年から大学院修了までの3年間は、Lie群の表現論を研究対象としました。

動機としては、代数系を中心にして、解析系や幾何系を含めていろいろな数学に触れてみたいという思いでした。

最初の数ヶ月で、Lie群を調べるための道具でもあるLie環の基礎として、リー代数入門―線形代数の続編として』(著:佐藤肇)を読みました。

リー代数入門―線形代数の続編として

リー代数入門―線形代数の続編として

タイトルのとおり、線形代数の範囲で理解できる内容で、さらっと読み通せました。

その後は1年半ほどで、以下の2冊の主要部分を読みました。

Reflection Groups and Coxeter Groups (Cambridge Studies in Advanced Mathematics)

Reflection Groups and Coxeter Groups (Cambridge Studies in Advanced Mathematics)

Representations and Invariants of the Classical Groups (Encyclopedia of Mathematics and its Applications)

Representations and Invariants of the Classical Groups (Encyclopedia of Mathematics and its Applications)

『Reflection Groups and Coxeter Groups』は代数的な知識で押し通せました。

一方、『Representations and Invariants of the Classical Groups』は、多様体論や実解析の内容が出てきて、苦労した記憶があります。

最後の1年ほどは、表現論のいろいろな論文を読んで、修士論文を仕上げました。
修士論文の内容はいつかブログに書いてみたいと思います。

おまけ:最近知った気になる本

最近、Wikipediaでなんとなく数学の内容を見ていたら、この本の存在を知りました。

The Schrodinger Model for the Minimal Representation of the Indefinite Orthogonal Group O (Memoirs of the American Mathematical Society)

The Schrodinger Model for the Minimal Representation of the Indefinite Orthogonal Group O (Memoirs of the American Mathematical Society)

タイトルを見て、修士時代に研究した内容にかなり関連することが書いているんじゃないかと思いました。

いつかは手に取って、パラパラと読んでみたい本です。

数学好きの琴線に触れる息子との会話

こんにちは。大学院まで数学を勉強していた、数学大好き人間です。

うちには小学生の息子が2人います。
いろいろな話をする中で、数学好きの琴線に触れる会話が出てきます。

その中から、印象に残っている2つのお話をご紹介します。

その1:作図ってなに?

長男(小3)が算数の宿題をやっています。

【問題】3つの辺の長さが3cm、5cm、5cmの二等辺三角形を作図しましょう。

長男「作図ってなに?」
 
自分「コンパスと定規だけを使って図を描くことだよ。でも、定規についている目盛りで長さを測るのはダメ」
 
長男「3cmの線を描いて、コンパスを5cmに開くことになるけど、その長さはどう測ればいいの?」
 
自分「・・・えっと、3cmと5cmは定規で測っていいよ」

作図と聞いて、「定規についている目盛りで長さを測るのはダメ」と、思わず中学~高校レベルの話をしてしまいました。
その結果、整合性が崩れた話をせざるを得ませんでした。

「定規は直線を引くために使う」と言えばよかったのかな?

いろいろと教えてみたいですが、なかなか難しいですね。

その2:無限ってなに?

次男(小1)のクラスでは、お金作りが流行っているようです。

お金作りと言っても怪しい話ではなく、半分に切った折り紙に10000などの数字を書いて、お札もどきを作る遊びです。

そして、そのお金にいちばん大きい数字を書いた人が勝ちという遊びをしているそうです。

最初は1の後ろに0がいくつ並ぶかで競争していました。
しかし、ある日、∞(無限大)を書いた子が現れました。

次男「無限(∞)ってなに?数字?」
 
自分「うーん、数字ではないかな。状態みたいな。でも、どの数よりも大きいってことでいいよ」
 
次男「じゃぁ、無限たす1(∞+1)ってどういうもの?」
 
次男「んー、無限って数じゃないからなぁ。そういうものはないんだよね」

非常に難しい質問でした。
どう答えればいいか、今でもよくわかっていません。

まだまだ修業が足りませんね。

1つだけ言えるのは、「無限って数字?」という質問にちょっとセンスを感じました。(親バカ)

フーリエ級数の3つの解釈/『数学セミナー 2018年3月号』読書メモ その3

引き続き数学セミナー 2018年3月号』の「フーリエ解析ことはじめ」についてです。

熊原啓作さんの「フーリエ級数とは」の読書メモの後半です。
前半はフーリエ級数の定義といくつかの性質を書きました。

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今回はフーリエ級数の3つの解釈の仕方についてまとめます。

前回の復習

周期  2 \pi の周期関数  f(x) に対して、数列  \{a_n\}_{n=0,1,2, \cdots} \{b_n\}_{n=1,2,3, \cdots} を次で定義する。
  \displaystyle a_n = \frac{1}{\pi} \int_{-\pi}^{\pi} f(x) \cos nx \ dx \ , \ \ b_n = \frac{1}{\pi} \int_{-\pi}^{\pi} f(x) \sin nx \ dx \ .
このとき、次の式の右辺にある形式的な無限級数 f(x)フーリエ級数という。
  \displaystyle  f(x) \sim \frac{a_0}{2} + \sum_{n=1}^{\infty} ( a_n \cos nx + b_n \sin nx) \ .

フーリエ級数の解釈(1):正規直交系への直交射影の和

関数  f(x) g(x) をベクトルとみなして、次のように内積  (f, g)長さ*1  \| f \| を定義する。
 \displaystyle (f, g) = \int_{- \pi}^{\pi} f(x) g(x) \ dx \ ,
 \displaystyle | f \|^2 = (f, f) = \int_{- \pi}^{\pi} |f(x)|^2 \ dx \ .

このとき、以下のベクトルたちの長さはすべて  1 になり、相異なるベクトルどうしは内積 0 になる。*2
 \displaystyle \frac{1}{\sqrt{2 \pi}} \ , \frac{\cos nx}{\sqrt{\pi}} \ , \frac{\sin nx}{\sqrt{\pi}} \ (n=1,2,3, \cdots ) .

つまり、このベクトルたちは正規直交系をなす。
(正規は「長さが  1 」、直交は「内積 0 」を表す。直交は高校数学のベクトルでの用語の使い方と同じ!)

フーリエ係数  a_n, \ b_n内積の定義から、次のことがわかる。
 \displaystyle (f, \frac{1}{\sqrt{2 \pi}}) \frac{1}{\sqrt{2 \pi}} = \frac{a_0}{2} \ ,
 \displaystyle (f, \frac{\cos nx}{\sqrt{\pi}}) \frac{\cos nx}{\sqrt{\pi}} = a_n \cos nx \ ,
 \displaystyle (f, \frac{\sin nx}{\sqrt{\pi}}) \frac{\sin nx}{\sqrt{\pi}} = b_n \sin nx\ \ (n=1, 2, 3, \cdots ) .

これらをすべて足し合わせると、  f(x)フーリエ級数になる。
したがって、フーリエ級数は正規直交系をなす各ベクトル(関数)への直交射影の和と言える。

フーリエ級数の解釈(2):固有ベクトル分解

 n 0 以上の整数とする。
 V_n を関数  \cos nx \sin nx で張られた空間とする(  V_n = \{ a \cos nx + b \sin nx \ | \ a, b \in \mathbb{R} \} )。また、 V_0 = \mathbb{R} とする。
このとき、フーリエ級数の各項は  V_n の元である。

 \varphi (x) \in V_n \displaystyle \frac{d^2}{dx^2} \varphi (x) = -n^2 \varphi(x) を満たすことから、 \varphi(x)微分作用素  \displaystyle \frac{d^2}{dx^2}固有値  -n^2固有ベクトルと言える。

ちょっと乱暴な言い方をすると…
周期  2 \pi の周期関数でフーリエ級数展開可能なもの全体の集合を  V とする。
このとき、  V_n V固有値  -n^2 の固有空間で、  \displaystyle V = \bigoplus_{n=0}^{\infty} V_n と固有空間分解できる。

したがって、関数  f(x)フーリエ級数微分作用素  \displaystyle \frac{d^2}{dx^2} による固有ベクトル分解ということができる。

補足

なお、本文では、より一般的な用語を使って、固有空間分解に現れる固有値  \{ 0, -1^2, -2^2, \cdots \} \displaystyle \frac{d^2}{dx^2} のスペクトルといい、フーリエ級数はスペクトル分解であると書いている。

フーリエ級数の解釈(3):平均2乗誤差を最小化するもの

先に述べた正規直交系を  \{ \phi_n \}_{n=1,2,3,\cdots} と書くことにする。

ここで、周期関数  f と 正規直交系をなす  N 個の関数の1次結合  \phi = \xi_1 \phi_1 + \cdots + \xi_N \phi_N の距離  \| f - \phi \| を考える。

 \| v \| ^2 = (v, v) (\phi_i, \phi_j) = \delta_{ij} *3に注意して計算すると、次を得る。
 \displaystyle \| f- \phi \| ^2 = \| f - \sum_{n=1}^{N} (f, \phi_n) \phi_n \| ^2 +  \sum_{n=1}^{N} |(f, \phi_n) - \xi_n| ^2

これを  f \phi平均2乗誤差という。

また、平均2乗誤差が最小になるのは、すべての  n \xi_n = (f, \phi_n) を満たすときである。
したがって、周期関数を三角関数で近似するとき、平均2乗誤差を最小にするのがフーリエ級数であると解釈できる。

そのほかに本文で書かれている内容
  • ベッセルの不等式: \displaystyle \sum_{n=1}^{\infty} | (f, \phi)|^2 \leq \| f \|^2
  • パーセヴァルの等式: \displaystyle \frac{1}{\pi} \int_{-\pi}^{\pi} f(x)^2 dx = \frac{a_0^2}{2} + \sum_{n=1}^{\infty} (a_n^2 + b_n^2)

今後の予定

今後はフーリエ変換、急減少関数、緩増加超関数と続きます。
どれも、学生時代にあまり理解できていなかったけど、修士論文で結果のみを使った分野です。
今どこまで理解できるか、楽しみです。

解釈(3)の補足

解釈(3)を理解するために、自分の場合は以下のような計算を行いました。
手書きの計算結果を載せておきます。

*1:正しくは「ノルム」と言う。

*2:高校数学で習う部分積分を使って計算できる。

*3:クロネッカーのデルタ:  \delta_{ij}= 1 \ (i=j), \ 0 \ (i \neq j)

まずはフーリエ級数から/『数学セミナー 2018年3月号』読書メモ その2

3月に入りすでに最新号が出ましたが、『数学セミナー 2018年3月号』をじっくり読んでいます。

先日は特集「フーリエ解析ことはじめ」の中の2つの記事について、読書メモを書きました。

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今回は熊原啓作さんの「フーリエ級数とは」を読みました。
微分積分学(+ちょっとした線形代数学)の範囲内で、フーリエ級数を説明しています。

ここでは、自分が読んだ中でポイントであると理解した部分といくつかの補足をまとめます。

フーリエ級数の定義

周期  2 \pi の周期関数  f(x) を考える。数列  \{a_n\}_{n=0,1,2, \cdots} \{b_n\}_{n=1,2,3, \cdots} を次で定義する。
  \displaystyle a_n = \frac{1}{\pi} \int_{-\pi}^{\pi} f(x) \cos nx \ dx \ , \ \ b_n = \frac{1}{\pi} \int_{-\pi}^{\pi} f(x) \sin nx \ dx \ .
このとき、次の式の右辺にある形式的な無限級数 f(x)フーリエ級数という。
  \displaystyle  f(x) \sim \frac{a_0}{2} + \sum_{n=1}^{\infty} ( a_n \cos nx + b_n \sin nx) \ .
右辺が収束し、その極限値 f(x) になるとは限らないので、両辺を  = ではなく  \sim で結んでいる。

そのほかに本文で書かれている内容

区分的に滑らかな関数のフーリエ級数の収束

有限区間上で定義された関数  f(x) が次の条件を満たすとする。

  • 高々有限個の点を除いて連続である。
  • 不連続点  x は第1種不連続点である。つまり、有限な右側極限値  f(x-0) と左側極限値  f(x+0) を持つ。
    • 上記2つの性質を持つとき、  f(x) は区分的に連続であるという。
  •  f(x) は区分的に滑らかである。つまり、  f'(x) も区分的に連続である。

 f(x) が周期  2\pi の区分的に滑らかな周期関数のとき、そのフーリエ級数 \displaystyle \frac{f(x-0)+f(x+0)}{2} に収束する(ディリクレの定理)。
したがって、連続点では  f(x) に、不連続点ではギャップの中間点に収束する。

補足
  • ディリクレの定理の証明は、例えば井上・勝股・林『級数*1定理3.1にある。
  • 本文にはフーリエ級数の一様収束性の記載あり。詳しい証明は『級数』定理1.19など。

フーリエ級数の例

本文では4つの関数のフーリエ級数の計算が紹介されている。

  • 例1: \displaystyle f(x) = x \ ( -\pi < x < \pi), \ 0 \ (x = \pm \pi)
  • 例2: \displaystyle f(x) = |x| \ ( -\pi \le x \le \pi)
  • 例3: \displaystyle f(x) = 1 \ ( |x| \le \frac{\pi}{2}), \ 0 \ (x = \frac{\pi}{2} < |x| \le \pi)
  • 例4: \displaystyle f(x) = x \ ( 0 \le x \le \frac{\pi}{2}), \ \pi - x \ ( \frac{\pi}{2} \le x \le \pi) を奇関数であり周期  2 \pi に拡張した関数
補足
  • 例1の計算結果から、ライプニッツの公式  \displaystyle \frac{\pi}{4} = 1 - \frac{1}{3} + \frac{1}{5} - \frac{1}{7} + \cdots が得られる。
  • 例2から、  \displaystyle \frac{\pi^2}{8} = 1 + \frac{1}{3^2} + \frac{1}{5^2} + \cdots を得る。また、バーゼル問題の解  \displaystyle \zeta (2) = 1 + \frac{1}{2^2} + \frac{1}{3^2} + \frac{1}{4^2} + \cdots = \frac{\pi^2}{6} が得られる。( \zeta (s) はリーマンゼータ関数
  • 例4を計算してみたが、どうしても本文に提示されている結果にならなかった。どこかで部分積分を間違えたかなぁ…。

1次元波動方程式の解とフーリエ級数の関係

弦の振動の様子を表す1次元波動方程式  \displaystyle \frac{\partial ^2 u}{\partial t^2} = c^2 \frac{\partial ^2 u}{\partial x^2} を初期値・境界値を与えられた条件で解く。その解とフーリエ級数の関係が書かれている。

詳細は省くが、線形斉次常微分方程式の基礎的知識で理解可能と思われる。

次回は「フーリエ級数の3つの解釈」

ここまでが本文の前半部分です。
(一部順番を変えて説明しているので、厳密には違いますが)

次回は後半部分の「フーリエ級数の3つの解釈」についてまとめる予定です。

*1:級数』は次の本を指す。

級数

級数

親として危機感を持って読んだ本 ~ 新井紀子『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』読書メモ

新井紀子さんの『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』を読みました。

コンピュータに大学入試問題を解かせる「東ロボ君」やRST(Reading Skill Test)の結果を通じて、子どもたちの読解力とAIとの関わりについて問題提起を行っている本です。

新井さんのツイートなどを見ていて、2人の小学生の親として読解力に関する興味と危機感を持ち、いてもたってもいられず、この本を手に取りました。

AI vs. 教科書が読めない子どもたち

AI vs. 教科書が読めない子どもたち

この本のあらすじ

2018年2月22日のTBSラジオ伊集院光とらじおと』に新井さんがゲストとして出演しました。
番組で話された内容がこの本のあらすじだと読みながら感じました。*1

番組の内容について、以下の記事にまとめていますのでご覧ください。

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「数学」という視点で本を見てみる

新井さんは数学者として活動されています。
私自身が大学で数学を専攻していたため、数学の視点でどのようなことが書かれているか、読む前から楽しみでした。

まず、この本は一般向けに書かれており、数式や数学用語はほとんど出てきません。
ほんの少し出てきますが、数式の意味がわからなくても読み進められます。

そして、この本について、次のような印象を持ちました。

  • 非常に論理的に理路整然と書かれている。
  • 事実に基づいて、地に足がついた主張をしている。

新井さんが数学者であり、しかも論理自体を研究対象とする数学基礎論がご専門であることが影響していると感じました。*2

また、詳しくは本文中にありますが、現代の数学を「論理・統計・確率」の3つに大きく分けるという視点はなるほどと思いました。

「小学生の親として何ができるか」を考えたい

ラジオでも聴いた内容ですが、「中学生の半数は教科書を読めない状態で卒業しているのではないか」という調査結果に改めて衝撃を受けました。

実際に中学生に行われたテストの例題やその正答率を見て、「本当なのか?」と疑いたくなるほどでした。

そして、読解力の問題は今になって表面化しただけであり、ずっと前から(30代後半の私たちの世代でも)あったはずだということにも驚いています。

本に書いてあるとおり、近い将来にAIに取って代わられる業務が出てくると思います。
そのような社会で生きていくためには読解力が物を言うというのも納得できます。

私には小学生の息子が2人いますが、「親として何ができるか」をよく考える必要があると認識しました。

たくさん本を読ませると読解力が上がると思いがちですが、必ずしもそうではなさそうです。

今のところの私の考えは、AIにはできなくて人間にしかできないことを高めることが必要なのかなと思っています。
例えば、社会常識や生きるために必要な感覚を身につける、判断する経験を与えるなどです。

私自身が今後どう生きていくかのヒントがあった

この本の最後の章には「最悪のシナリオ」と題して、ちょっと怖い(けど実際に起こりそうな)将来の予測が書かれています。

暗澹たる気持ちになりそうでしたが、最後の節は「一筋の光明」というタイトルで、AIに代替されることなく残っていく仕事について、いくつかの具体例とともに論じられています。

その中に書かれていた次の文章が非常に印象的でした。

「ほぼ日」でセーターやブラウス、「穴かがり」をストーリー付きの商品として販売しておられる方々は、好きなモノづくりをして、大金は稼いでいないとしても、楽しく、人間らしく、誇りをもって生活できているはずです。
Kindle の位置No.3403:新井 紀子『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』)

AIや読解力とは直接関係ない文章のように見えますが、「自分ができる範囲でやっていくことを見つけていけば、精神的に豊かな生活を送れるのかな」と少し希望を持てました。

社会人になる前の子どもを持つ親にぜひ読んでほしい

この記事の冒頭に書きましたが、親として危機感を感じて、この本を読みました。

最後まで読んで、危機感は持ち続けたままです。

危機感を払拭するためのHow-Toは書かれていません。というか、まだわかっていません。
でも、どこに課題感があるかは読み取れると思います。

私と同じく、社会人になる前の子どもを持つ親にぜひ読んでほしいと思いました。

*1:余談ですが…番組内で「コンピュータは徹頭徹尾、数学でできている」と話していました。全く同じ文言が本の中にも出てきているのが印象的でした。「著者は本に書いた内容をよく覚えているんだなぁ」と、よく考えると当たり前のことを思いました。

*2:私の専門は、数学基礎論とは全く異なり、Lie群の表現論でした。

中学時代は幾何の問題は苦手だったけど… ~ 結城浩メルマガVol.310を読んで

2018/3/6に発行された結城浩さんのメルマガは、数学の学び方についてのQ&Aがいくつか書かれていました。

その中で「幾何に取り組む話。」に関心を持ちました。
以下、その抜粋です。

質問
現在中学生で、来年から高校生になります。
代数よりの問題(確率や一次関数のグラフなど) では数を操作しているようで楽しく、 解きやすいと感じます。
でも幾何よりの問題(平面図形や空間図形など) ではとたんに解けなくなります。
幾何の分野では、 「ひらめき」や「感覚」が必要とされている気がして、 どうしても自信が持てません。
考え方や問題への取り組み方のコツはあるでしょうか。
 
回答(一部)
「ひらめき」や「感覚」あるいは「センス」が必要…… と言いたくなりますが、そこには注意が必要です。 というのは「ひらめき」や「感覚」や「センス」 という言い方をしたとたん、 「生まれ持ったものであり、自分にはどうしようもない」 と勘違いしそうになるからです。
 
そこから一歩進むと、 言い訳と思考停止につながります。 それは危険な道だと思います。 中学生・高校生の段階では、特にそうです。 「ひらめき」や「感覚」や「センス」 の存在を否定するわけではありませんが……

自分も質問者と同じでした。

中学時代、代数寄りの問題は解きやすく好きでしたが、幾何の問題は苦手でした。
問題集の解答を見て、「その補助線は思いつかない!」などと思い、センスがないと感じていました。
高校時代も(大学でも?)センスがないという考えがあったので、幾何の問題は苦手意識がありました。

今になって考えると、結城さんのおっしゃるとおりで、「センスがない」でふたをしてしまうのはもったいなかったなぁと思っています。

高校数学では幾何の問題を解くアイテムが増える。

そして、もう1つのことに気づきました。
高校数学では幾何の問題を代数的・解析的に解くアイテムが増えるということです。

例えば、

  • 対象の図形をxy座標上にうまく置いて、数式を使って処理する。
  • ベクトルを使って、数式を使って処理する。

などです。

頭の整理で、中学から高校までで、どういうアイテムが増えるかを図にしてみました。
(誤りなどがありましたら、申し訳ありません)


「その補助線は思いつかない!」という考え

上に書いた「その補助線は思いつかない!」というような考えについて、深く掘り下げた内容が今回のメルマガの有料部分にありました。
「数学の問題をまちがったとき、どう復習すれば数学力を向上できますか - Q&A」というタイトルの部分です。

今回は、「中高生時代にこういう話を聞きたかったなぁ」ということがたくさんありました。