7931のあたまんなか

数学/読書メモ/自分の考え方/水曜どうでしょう/交通関係(道路・航空)など、頭の中にあることを書き出しています。

『数学ガール/ポアンカレ予想』第7章 読書メモ

今回は数学ガールポアンカレ予想』第7章の読書メモです。

第7章のタイトルは微分方程式のぬくもり」

これまでは幾何学に関する話題が中心でしたが、この章は関数の微積分(解析学)の話題になります。

第一印象はこれまでと独立した話題というか唐突な感じでした。ポアンカレ予想にどう関係するかの楽しみが湧いてきます。


なお、前回の第6章の読書メモはこちらです。

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【目次】

第7章のキーワード

これまでの私と微分方程式の関係

常微分方程式はあまり身に付かなかった。

私の年代は高校で微分方程式を習っておらず、大学2年の教養の講義で微分方程式の解法を本格的に学びました。

教科書はポントリャーギン『常微分方程式でした。

当時いろいろと勉強しましたが、あまり身に付きませんでした。特に、具体的な計算が苦手だった記憶があります。

偏微分方程式に触れる(1回目)

そんな状態でしたが、偏微分方程式の世界に飛び込みます。

所属していた大学数学科に偏微分方程式の研究者が非常に多かったことが影響していると思います。

大学3年のゼミでは、ユルゲン・ヨスト『ポストモダン解析学を読み、偏微分方程式の入口にチャレンジしました。詳しくは↓で。

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その後も講義などを受けましたが、とても難しく感じて、偏微分方程式からいったん離れます。

偏微分方程式に触れる(2回目)

Lie群の表現論に転向してしばらくすると、また偏微分方程式に出会います。

修士論文を書くことができましたが、論文を追いかけることに一生懸命で十分に理解できたかと言われると自信はありません。

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微分方程式を解く」とはどういうことか?という疑問

このようなバックグラウンドを持って第7章を読むと、そもそも微分方程式を解く」とはどういうことか?と考えるようになりました。

代数方程式と代数学の基本定理

例えば、代数方程式を解く場合は、解の公式や因数分解などを行うことで解を求めます。 *2

そして、代数学の基本定理(n次方程式の解は、重複を含めてn個である)ことから、すべての解が出せたことがわかります。

微分方程式微分方程式の解の一意性…?

それでは、微分方程式を解くことが微分方程式を満たす関数をすべて求めることだとすると、どのような理由付けで「すべて求めた」と言えるんだろう?という疑問が湧いてきました。

第7章の脚注で触れられている微分方程式の解の一意性の主張を正しく理解することが鍵になるんでしょうか。

微分方程式の初歩的な内容だと思いますが、いずれ勉強し直したいです。

なぜこのようなことを思ったか?

図にしてみました。


おわりに

数学ガールポアンカレ予想』の本文の内容からかなり離れて、微分方程式に関する自分の考え方のまとめになってしまいました…。

これらをいずれ理解できるように、ゆっくり数学をやっていこうと思います。

*1:この章で扱われているのは線形常微分方程式で、例えば f'(x)=a , f'(x)=f(x) , f''(x)=-f(x) 。それぞれの解は1次関数、指数関数、三角関数に関係する。

*2:求めることが可能な場合

特集「フィボナッチ数の大人の楽しみ方」/『数学セミナー 2018年8月号』読書メモ

数学セミナー 2018年8月号』の特集は「フィボナッチ数の大人の楽しみ方」です。

フィボナッチ数列は高校の数列の授業で習うもので、計算の仕方自体は小学生でも理解可能なものです。

このフィボナッチ数列について、

  • 数列自体を深く考える。
  • 数列を拡張して考える。
  • 自然界で見られる現象や図形での応用を考察する。

など、いろいろな側面で語られています。

フィボナッチ数列が棲む空間を考える。

最初の記事で書かれている内容について、線形代数の応用として興味深かったので、メモしておこうと思います。

フィボナッチ数列の漸化式」を満たす数列全体がなす線形空間

漸化式  a_{n+2}=a_{n+1}+a_{n} を満たす実数列  (a_n)_{n=0, 1, 2, \dots} 全体の集合を  \mathcal{F} とすると、これは線形空間になります。

最初の2項  a_0, a_1 を決めると  \mathcal{F} の数列が決まります。この数列を  \mathcal{F}_{(a_0, a_1)} と書くことにします。

 \dim \mathcal{F} = 2 なので、  \mathbb{R}^2 の元  (a_0, a_1) (b_0,b_1) を1次独立に取れば、  \{ \mathcal{F}_{(a_0, a_1)}, \ \mathcal{F}_{(b_0, b_1)} \} \mathcal{F} の基底になります。

フィボナッチ数列とリュカ数列

特に、  (a_0, a_1)=(0,1) とした数列  (F_n) := \mathcal{F}_{(0,1)} は(よく知られた)フィボナッチ数列になります。

また、  (a_0, a_1)=(2,1) とした数列  (L_n) := \mathcal{F}_{(2,1)}リュカ数列と呼ばれています。

したがって、  \mathcal{F}フィボナッチ数列  (F_n) とリュカ数列  (L_n)棲む空間と言えます。

そして、  \{ (F_n), \ (L_n) \} \mathcal{F} の基底になります。

 \mathcal{F} の線形変換を使って基底を取る。

基底の取り方として、線形変換の固有ベクトルを並べる方法があります。

 \mathcal{F} の線形変換として、数列を1つずらす変換  \tau : (a_0,a_1,\dots) \mapsto  (a_1, a_2, \dots) を考えます。

 (a_0, a_1) \in \mathbb{R}^2 に関する  \tau の表現行列  A は、  \begin{pmatrix} a_1 \\ a_2 \end{pmatrix} =  \begin{pmatrix} 0 & 1 \\ 1 & 1 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} a_0 \\ a_1 \end{pmatrix} より、  A= \begin{pmatrix} 0 & 1 \\ 1 & 1 \end{pmatrix} となります。

 A の固有多項式 \det (xI - A) = x^2 -x -1 は2つの根  \displaystyle \alpha := \frac{1+\sqrt{5}}{2}, \ \beta := \frac{1-\sqrt{5}}{2} を持ちます。 \alpha黄金比と呼ばれる数です。

 \alpha \neq \beta より  A は対角化可能で、  P := \begin{pmatrix} 1 & 1 \\ \alpha & \beta \end{pmatrix} とすると、  P^{-1}AP = \begin{pmatrix} \alpha & 0 \\ 0 & \beta \end{pmatrix} となります。

したがって、  P の2つの縦ベクトルに注目すると、  \{ \mathcal{F}_{(1,\alpha)},  \mathcal{F}_{(1,\beta)} \}  \mathcal{F} の基底になります。

また、対角化された行列に注目すると、  \{ (\alpha^n), (\beta^n) \} も基底になります。

フィボナッチ数列について説明されている内容

  • \mathcal{F} の中で整数のみからなる数列の性質 *1
  • \alpha \beta を使った  F_n L_n の表示
  •  F_n L_n の関係式
  • フィボナッチ数列に関する各種性質
    • 隣り合ったフィボナッチ数の互除法と連分数展開
    • カッシーニの定理
    • 加法定理
    • ペル方程式  (2x+y)^2-5y^2=\pm 4 の解
    • 母関数 *2
  • 素数を法とした性質 *3
    • フィボナッチ数のランク *4
  •  F_n素数である「フィボナッチ素数」について
  • フィボナッチ数の逆数の総和  \displaystyle \sum_{n=1}^{\infty} \frac{1}{F_n}無理数であることの証明

フィボナッチ多項式

フィボナッチ数を拡張したフィボナッチ多項式が定義されます。

これは整数係数多項式で、有理数 \mathbb{Q} や素体  \mathbb{F}_p 上での既約性が議論されています。

対称関数から見たフィボナッチ数

斉次完全対称式、べき和対称式、基本対称式の3つの対称関数を使って、フィボナッチ数の拡張を試みています。

その議論の中では、ガロア群の可換性やフィボナッチ数列の正値単調非減少整数性などが登場します。

フィボナッチ数が「対称関数論、円分体論、組合せ論の3つの領域が交わったところに棲んでいる」という解釈が出てきます。

フィボナッチ数に関するその他の話題

特集内で触れられているその他の話題について、項目をリストします。

植物の種の列のらせんにフィボナッチ数が現れるのはなぜか?
詰め込み問題との関係
図形に現れるフィボナッチ数
大半は小学生でも理解可能と思われる。
正五角形と黄金比の関係
上でも述べたが、フィボナッチ数と黄金比は密接に関係している。
日本フィボナッチ協会
数学者だけでなく、化学者や中高生などが参加しているのが興味深い。

*1:環や体の性質を使って説明されてます。

*2:数学ガール』第4章でも詳しく言及されています。

数学ガール (数学ガールシリーズ 1)

数学ガール (数学ガールシリーズ 1)

*3:イデアル分解を使って説明されています。

*4:素数で割り切れる項  F_n の周期(周期的に現れることは本文で記載されてます)。

きたみりゅうじ『人生って、大人になってからがやたら長い』読書メモ

書店に行くと、コミックエッセイの書棚をよくチェックします。 *1

そのときにタイトルを見て、「これだ!」と直感的に思って買ったのがこの本、きたみりゅうじさんの『人生って、大人になってからがやたらと長い』です。

きたみさんは、大学卒業後にプログラマとして就職し、2度の転職を経て、フリーランスとなった方です。

そして本文によると、20代で結婚して、2人のお子さんがいて、マイホームを購入したそうです。

転職とフリーになったことを除くと、私とほぼ同じプロフィールです。

さらに、私が住んでいる町の近隣にいらっしゃるんじゃないかと読み取れました。

そのせいか、共感できるところが多く、感情移入しすぎて涙が出そうなところもありました。

印象的な言葉やシーン

印象的な言葉やシーンがいくつかあったのでメモしておきます。

冒頭に何度か出てくる「勤めあげる」という言葉

住宅ローンが通って、「ほんとに買うことになっちゃったよ!」とビビる。

正解を知らなくてもスタスタと歩いていくことができる。それこそが「大人」なのかもしれない。

インプットとアウトプットのバランスが大事

時は金なり、逆も真なり

自分たちはそろそろ人生の前半戦を終えようとしているのかもしれない。

『死ぬ辞め』に通じる部分が多い?

この本の前半部分は特に、汐街コナさんの『「死ぬくらいなら会社辞めれば」ができない理由(ワケ)』に通じる部分が多いと感じました。

『死ぬ辞め』については、過去にこのブログで触れています。

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身体は大人になっても、心は子どものままなんだな。

自分や同世代の人を見ていて、うすうすとは感じていましたが、やっぱり「身体は大人になっても、心は子どものままなんだな」ということを改めて感じました。

その状態でどう大人の世界を生きていくかを考え続けるんだろうなと思います。

*1:以前に同じような出だしの記事を書いた気がします。

Twitterモーメント一覧(随時更新)

Twitterの気に入ったツイートや参考にしたいツイートを、これまではRTやいいね!をして保存していました。しかし、ツイート数が多くなって分類されていないために、後で見返すことがなくなってしまいました。

ということで、Twitterモーメントに分類して保存するようにしています。

モーメント数が多くなってきたので、このページにまとめておきます。なお、モーメントを追加するたびにこのページも更新予定です。

目次

モーメントの一覧(分類なし)

私が作成したモーメントの一覧はこちらから参照可能です。公開日の降順でソートされています。

自分の考え方がわかるツイート

自分の考え方

自分自身の考え方に関するツイートを集めた、自分用のメモです。

自分の中にあった違和感のまとめ

最近のTwitterを見ていると、自分の中にある違和感を感じているものがあぶりだされているように思えます。そして、その違和感の原因は何かがわかることもあります。これをまとめてみました。

将来を見据えて

次の一手を考える

休職中している関係上、次の一手をどうするかを考えています。その方向付けに役に立ちそうなツイートを集めました。現職をどうするかに加えて、興味がある書くことや数学に関係することなど。戦略構想中です。

たまに思い出したい印象的な言葉

心にグッときた言葉

心に残しておきたい、たまに思い出したいことばを集めました。半分以上はメンタルに関係することばです。

気になるもの/こと

気になる本

気になる本のツイートを集めました。数学系とメンタル系がメイン。

TwitterWebサービスなどのTIPS

活用してみたいTIPSを集めました。

へー。と思ったこと

豆知識や自分のためになったことなどを集めました。

おもしろいアイディア

これはおもしろい!役に立つ!と思ったアイディアを集めました。日常生活のTIPSから社会に役に立ちそうなアイディアまで。

おもしろい/参考にしたいツイート

自分にとって「おもしろい」「参考にしたい」と思ったツイートのまとめです。

ひとりSlackのメモ

興味を持っている #ひとりSlack についての情報などを集めた個人メモ的モーメントです。

メモをとる。ノートをとる。

日常的に行われる「メモをとる」「ノートをとる」という行為。自分にはこだわりがあり、他の人がどうしているのかが気になっています。

数学に関係するモーメント

数学に関するツイート

数学について興味があるツイートを集めました。具体的な問題や技術的なものが多いです。数学そのものの考え方は別のモーメントで。

数学の考え方

数学関係のアイディアや数学の考え方についてのツイートを集めました。具体的な数学の議論で興味があるものは別のモーメントで。

数学が視覚化された動画

数学の少しわかりづらい概念などを視覚化してわかりやすく説明している動画を集めました。

複素数をより受け入れられやすく導入するには?

複素数は『存在しない数』として、否定的な表現で導入されることがある。有用性を強調すれば、より受け入れられやすいのでは?」という私のツイートに関連するツイートを集めました。

算数・数学に関するおもちゃ

算数・数学に関するおもちゃに関するツイートです。お子さんのおもちゃの参考にどうぞ。

オンラインで参照できる数学関係の資料

オンラインで参照可能な数学関係の資料を集めています。他のモーメントにも分散しているので、できれば集約したいです。

「数学科って、何やってるの?」

数学科にいる本人もなんて答えればいいかよくわからない質問。反応を集めてみました。他の学問分野での説明の仕方も集めています。随時追加中です。

数学独特の言葉の使い方

「コイツ」「微分してあげる」など、いろいろな言葉の使い方を集めてみました。

数学ガール』の地図

いつか自分も書いてみたいです。今後の参考のために。

数学ガールポアンカレ予想』に関するツイート

読んだ方の感想やメモなどを集めています。今後自分が読むときの参考にもしようと思っています。

表現論、リー群、物理との関係など

表現論に関するツイートを集めています。リー群、リー環、物理との関係などについて。

3次方程式と折り紙による作図

3次方程式と折り紙による作図が関係あるらしい。情報収集のためのモーメント。ちなみに、コンパスと定規による作図は2次方程式と関係している。詳しくは『数学ガールガロア理論』などで。

数学を楽しむツール

LaTeX、Wolfram、GeoGebraなど。

学習・勉強・研究・教育など

学習・勉強・研究について

学習・勉強・研究について気になるツイートを集めました。

読解力に関するツイート

最近気になっている読解力に関するツイートを集めています。

AIについての考え方

最近気になっている「AI」についての考え方をまとめています。

プログラミング教育

小学校で始まるプログラミング教育について、自分が気になったツイートを集めました。

科学とメディア

科学とメディアの関係のツイートを集めました。

都会・地方の教育格差の話

阿部幸大さんの『「底辺校」出身の田舎者が、東大に入って絶望した理由』と『大反響「底辺校出身の東大生」は、なぜ語られざる格差を告発したのか』に関するツイートを集めました。

道路関係

グッときた道路関係情報(緑看板など)

グッときた道路関係情報のツイートを集めました。個人的な趣味で高速道路関係の緑看板が多いです。

自分のツイートに関する反応

@wed7931関係のツイート

引用RTやブログに関するツイートなどを集めました。

『数学ガール/ポアンカレ予想』第6章 読書メモ

今回は数学ガールポアンカレ予想』第6章の読書メモです。

第5章に続いて、紙とペンを持って計算しながら読むというよりは、頭の中でイメージしながら読む形でした。

なお、前回の第5章の読書メモはこちらです。

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第6章のタイトルは「見えない形を捕まえる」

ポアンカレ予想の主張に使われている基本群を説明しています。

【目次】

第6章のキーワード

2つの形が同じかを考えるために群を考えるのは自然なこと

例えば、正多角形を考える。

 n 角形にある操作を施してぴたりと重なるのはどのような操作かを考えると、次の3つがあります。

(1)  \frac{2 \pi}{k} 回転  (k = 0, \pm 1, \pm 2, \dots )
(2) ある軸での裏返し
(3) (1)と(2)の合成

(1)の全体は群となり、位数  n巡回群と同型です。

(1)~(3)の全体も群になり、二面体群と呼ばれます。

どちらもぴたりと重ねるという操作を代数的に表したものです。回転や裏返しという幾何的な言葉を代数的な言葉に置き換えています。

もう少し考えを進めて

2つの位相空間が同相かどうかを判断するために、次のような手法がとれます。

  • 同相写像で不変な群を考える。つまり、位相空間に対して「群」という位相不変量を考える。
  • 2つの位相空間があって、「群が同型でなければ、位相空間は同相ではない」と言える。

代数的位相幾何学の考え方のひとつです。

基本群が位相不変量のひとつ

位相空間上に描けるループが本質的に何種類あるか」ということを考えます。

本文にあるトーラスや球面の例を考えると、具体的な図形的イメージができると思います。

この問いに答える基本群について、本文から数式を中心にしてノートにまとめました。

この章の前半は、「2つの弧状連結な位相空間  X Y が同相ならば、それぞれの基本群  \pi_1(X) \pi_1(Y) が同型である」、つまり基本群は位相不変量であることで締めくくられています。

学生時代を振り返ると

数学科での幾何学の講義で、ホモトピーや基本群について勉強しました。

当時は幾何的なイメージをほとんど持たないままに計算に集中して、well-defined性の確認や具体的な基本群の計算をしていました。

そのためにこの分野はあまり理解できませんでしたが、この章を読むことでようやく理解できました。

ポアンカレ予想の主張

この章の後半では、ポアンカレ予想の主張が出てきます。

ポアンカレ予想
 M を3次元の閉多様体とする。
 M の基本群が単位群に同型ならば、  M は3次元球面に同相である。

本文で「僕」が話しているように、ここまで読めば、ポアンカレ予想の主張が何を言っているかがわかります。

数学ガールフェルマーの最終定理でも、証明のキーとなる主張の読み解きをしていて、「自分でも理解できるんだ!」と感動したときと同じような気持ちになりました。

おわりに

残りは第7章~第10章です。

目次には微分方程式フーリエ変換驚異の定理

驚異の定理は微分幾何の定理だと記憶していますが、他は幾何とどんな関係があるんだろう?

どこに向かうか、とても楽しみです。

数学の自己紹介シート(α版)を作ってみた

ふと、「数学について知りたいことがたくさんあるなぁ」と思った。

数学セミナー』や数学関係のTwitterの情報などを見て、数学に関する断片的な知識がつながっていくのがとてもおもしろい。

それじゃぁ、こんなことはできないか?と考えた。

(1) 今までに知っている数学はどんなことか?
 
(2) (1)はどのように勉強したか?(本、講義など)
 
(3) これから知りたい数学はどんなことか?それは、(1)とどんな関係があるか?
 
(4) 読んでみたい数学の本や資料は、(3)のどこかにマッピングできるのではないか?

(1)~(4)がまとめられれば、自分の数学の履歴書というか自己紹介シートみたいなものができるのではないか?

これを図にしておけば頭を整理しやすくなるし、updateしやすい状態におけばベストだ。

まずは作ってみよう!

というわけで、手書きでざっと書いてみたのがこれ。上の分類でいうと、(1)の一部を書いた。

まずは、学生時代に勉強していた代数学Lie群の表現論を中心に思い出しながら書いた。

数学科卒業後に、数学ガール』シリーズ数学セミナー』の特集記事を通して知ったことも非常に多いので、これもまとめておきたい。そして、(2)~(4)を追記して完成版に近づける。

今はそんなふうに思っている。

『数学ガール/ポアンカレ予想』第5章 読書メモ

今回は数学ガールポアンカレ予想』第5章の読書メモです。

全10章のうちの前半を読み終わりました。じっくり集中できる時間を見つけて読んでいるので、進みはゆっくりです。

なお、前回の第4章の読書メモはこちらです。

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第5章のタイトルは多様体に飛び込んで」

多様体という言葉を見て、幾何学が苦手な自分は身構えましたが、読んでみると意外とすっきり読めました。

【目次】

第5章のキーワード

  • 1次元、2次元、3次元、4次元の立方体
  • 中身が詰まっていない「サイコロ面」
  • 中身が詰まっている「サイコロ体」
  •  n 次元サイコロ面を  n 次元で見る。
  •  n 次元球体と  n 次元球面  S^n の展開図
  •  n 次元多様体

この章を読むのに必要なのは想像力

第4章までは紙に図や式を書いて、お絵描きをしながら計算をしながら読みました。

一方で、第5章を読むときには、紙はほとんど使いませんでした。

本文で丁寧に説明されている文章と多くの図を見ながら、想像力を働かせて読む感じでした。

ポイントは「サイコロ面」と「サイコロ体」

その想像力を働かせるのにポイントになるのが、サイコロ面サイコロ体の理解だと思います。

例えば、「球」と言ったときに、中身の詰まっていない球を指すか、中身の詰まっている球を指すかに十分気を付けようということです。

数学では、前者を球面、後者を球体と言って区別します。

式で書くと、  x^2 + y^2 + z^2 = 1 x^2 + y^2 + z^2 \le 1 です。  = \le の違いに注意です。 *1

この立方体版を考えて、

  • 中身が詰まっていない立方体をサイコロ面
  • 中身が詰まっている立方体をサイコロ体

と呼んで、本文では説明しています。

これが理解できれば、第5章の目標のひとつである

  • 3次元球面 *2
  • 4次元立方体

が「見える」ようになると思います。

どちらも4次元空間内の図形なので、平たく言うと、4次元が見える経験ができるはずです。

この章での新しい発見

サイコロ面とサイコロ体という考え方

これまでの数学経験で、球面と球体の区別は意識していましたが、立方体について同じような見方をしたことがありませんでした。

この理解によって、幾何学の理解が一気に広がったような気がします。


図形の《中》に入る/図形の《外》から《撫でる》感覚

この2つの表現はとても文学的ですが、数学的にも非常にわかりやすかったです。著者の結城さんの言葉の力に感動しました。

  •  n 次元サイコロ面の中をどこまでも進んでいく様子
  •  n 次元生物が  n 次元球面を一周する様子

本文を読んでこの2つが理解できれば、《撫でる》の意味がわかると思います。同時に、《有限/無限》と《果てがある/ない》の意味も。

 n 次元多様体のわかりやすい説明

大学の幾何学で、 n 次元多様体の定義を局所座標系という概念を使って学びました。

わかったようなわからないようなモヤモヤがありましたが、この説明でそのモヤモヤが少し解けました。 *3

  • 3次元球面は3次元多様体の一種で、3次元球面上のどの点でも近傍を見渡すと3次元ユークリッド空間に見える。
  • しかし、3次元球面は境界がない閉多様体だから、3次元球面の中にいる3次元の生物は《外》に出られない。

おわりに:今後の展開が楽しみなこと

この章を読んで、理解できなかったことが2つありました。

(1) 無限遠点を足した上で裏返す」とはどういうこと?(177ページ)

(2) 「形を知る道具が群」とはどういうこと?(190ページ)

どちらも第6章以降で明らかになるだろうと考えて読み進めようと思います。

そして、(2)は幾何学で扱う群が断片的に頭に残っているので、それらがつながればと楽しみにしています。 *4

*1:円の場合は、円周と円板で区別します。

*2:名前には「3次元」とついていますが、4次元空間内の図形です。式で書くと、  x^2 + y^2 + z^2 + w^2 = 1

*3:数学ガールポアンカレ予想』184ページの内容を引用しました。

*4:章末の194ページにあるリーマンの言葉の真意もわかる?