「それでも、人生は続く。」はまさにその通り! ~ 『一発屋芸人列伝』読書メモ
- 作者: 山田ルイ53世
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2018/05/31
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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一発屋と呼ばれる11組の芸人について、髭男爵・山田ルイ53世の取材をもとに書かれた本。
この本の帯には「それでも、人生は続く。」と書かれている。
まさにその通り!と思える内容だった。
一発屋になる前にそれぞれの考え方で行動していて、一発の後もそれぞれの人生を生きている。
それも各人が三者三様であることがよくわかった。
芸人という厳しい世界の中でどう生きてきたかを読んで、「それじゃあ、自分はどうなんだ?」という問いが、頭の中に常に浮かんでくる。
この本に書かれている人たちに共通するのは、自分の周囲の変化にどう対応してどう生きるかを真剣に考えているんだと思った。
これについても、「それじゃあ、自分はどうなんだ?」。
山田ルイ53世さんのラジオや文章が好きで、お笑い番組が好きでこの本を読んだ。
それにしては、予想以上に考えさせられる本だった。
もちろん、お笑いネタのこともいろいろ書いてある。
どの芸人さんも(1人は存じ上げない芸人さんですが)、やっぱりおもしろいと再確認した。
特に、テツandトモは、数年前に地元の住宅展示場でのライブを見て、ものすごくおもしろかったことを思い出した。
テレビによく出ていた頃を知らない息子たちもすごく楽しかったようだ。
*1:ブクログにも同様の内容を記載しています。 booklog.jp
齋藤正彦『線型代数入門』の自分用インデックス
大学1年の線形代数学の講義での教科書は齋藤正彦『線型代数入門』でした。
- 作者:齋藤 正彦
- 発売日: 1966/03/31
- メディア: 単行本
当時は講義に追いつくのに必死でこの教科書をじっくり読んでいませんでした。
それから20年、ブックオフでたまたま見かけて、懐かしくて購入しました。
じっくり読んでみると、「今の方が理解できるなぁ」と過信してしまうほど、すいすいと読めました。
読みっぱなしではもったいないので、メモというか自分用のインデックスを作りました。
冗長にならないように書き方が正確ではない部分もありますので、ご認識ください。
第1章 平面および空間のベクトル
第2章 行列
いろいろな行列【問題】
- 正規行列:
- つまり、エルミート行列とユニタリ行列は正規行列。
- 交代行列:
- 冪零行列:
- 確率行列:各行の成分の和が1
- 交換子積:
- ヤコビの恒等式:
第3章 行列式
第4章 線型空間
用語と記号など
線型空間の次元と基底
- (1) 一次方程式系の理論での証明【[3.8]】
- (2) 極大線型独立系を使った証明【[3.10]】
- 基底の変換行列【§3の後半】
線型写像
- 次元定理【[5.1]の後】
- 行列の階数の特徴付け【[5.3]の後】
- 基底変換による表現行列の変化:【[5.3]の後】
第5章 固有値と固有ベクトル
固有値と行列の対角化
ユニタリ空間における正規変換の特徴【§2】
実計量空間における対称変換の特徴
- 実計量空間では対称変換に着目して、§2と類似した結果を得る。【§3】
- 実正規行列の実数の範囲内での標準形【§6】
- 3次元空間での原点周りの回転(オイラー角)【§6】
二次形式、二次曲線、二次曲面【§4~5】
- 実対称行列とそれを対角化する直交行列に注目する。
第6章 単因子およびジョルダンの標準形
第7章 ベクトルおよび行列の解析的取扱い
行列値関数【§1】
行列の冪級数とノルム【§2】
非負行列の性質【§3】
- ペロン・フロベニウスの定理【定理[3.1]】
- フロベニウス根【定理[3.3]】
附録
『現代解析の基礎 直観⇔論理』読書メモ (第7章)
昨年末まで『現代解析の基礎 直観⇔論理』(荷見守助・堀内利郎 著)の第6章まで読んでいました。
- 作者: 荷見守助,堀内利郎
- 出版社/メーカー: 内田老鶴圃
- 発売日: 1989/04
- メディア: 単行本
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第6章までには、1変数関数の微積分が書かれています。
今回のテーマは2変数関数の微積分
最後の第7章のテーマは2変数関数の微積分です。
多変数関数の微積分を大学時代に勉強したときには、計算の仕方の理解を優先し、理論的な裏付けは後回しにしていた記憶があります。
特に、重積分や線積分は理解が追い付いていませんでした。
微積分を振り返るために手に取ったこの本では、理論的な裏付けがとても詳細に書いてある印象を持ちました。
その分、具体的な計算は練習問題に回っています。
ちなみに、学生時代に指定された教科書(以下の2冊)は具体的な計算に重きを置いている印象です。 *1
- 作者: 上見練太郎,勝股脩,加藤重雄,久保田幸次,神保秀一,山口佳三
- 出版社/メーカー: 共立出版
- 発売日: 2014/02/07
- メディア: 単行本
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- 作者: 上見練太郎,勝股脩,加藤重雄,久保田幸次,神保秀一,山口佳三
- 出版社/メーカー: 共立出版
- 発売日: 2014/08/09
- メディア: 単行本
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まとめ
ざっくりとした理解で終わっていた部分なので、とてもいい復習になりました。
紙とペンを使いながら読む形はとれませんでしたが、微積分で困ったときはこの本に立ち返ろうと思わせてくれる本でした。
ブックオフで100円のたまたま見つけた本でしたが、非常にいい買い物をしました!
*1:ここでは改訂版を紹介していますが、私の学生時代はまだ改訂版は出ていませんでした。
方向転換を決断した人には、いつも「うらやましい」と言っている。
自宅の本棚にあった『こんなツレでごめんなさい』(望月昭 著)を読んで、ブクログにこんなレビューを書いた。
1回目はうつ病になる前に、『ツレうつ』を読んだ後。
2回目はうつ病で休職して復帰を目指している今の段階。
ツレさんと自分は、症状は半分くらいは似ていると思う。
他に本で読んだうつ病経験者とは、症状の共通点が少ない方だと思う。
ツレさんは環境をガラッと変えることで物事が良い方に進んでいっているという印象を持っている。
その方向転換をする勇気と決断力を持っているのが素晴らしいと思う。
逆に、自分はそのような方向転換をするほどの気持ちを持てていない。
方向転換をしようにも、どこに転換すればいいか、転換して進んでいいものかを考えて尻込みしてしまう。
自分もこのような気持ちがほしい。
これを書いて思ったのが、自分は方向転換を決断した人には、いつも「うらやましい」と言っているということ。
自分の周りには、方向転換をした人がたくさんいる。例えば…
- 新卒で就職した会社を退職して、別の会社に就職した人
- 高校を中退して、専門学校に通って理容師になった人
- 大学院の博士課程を中退して研究者をあきらめ、一般企業に就職した人
- 自衛官を辞めて、別の種類の公務員になった人
- 育児に専念するために退職した人
こういう人と話すときには、いつも「決断ができて、うらやましい」と言っている。
それでは、自分はどうか。
体調がどうにもならなくて休職をするという選択はした。
これをある路線の駅で停車していると例えると、前述の方向転換した人は別の路線に乗り替わったと言える。
ここまでの決断はできていない。
「うらやましい」という言葉が口をついて出るということは、やはり方向転換をしたいということなんだろうか。
現在は休職中で、時間はある。
これからの人生の進め方をゆっくり考えたい。
ちなみに、この記事を書いている日に放送されたNHK朝ドラ『半分、青い』では、ヒロインの親友である律が退職届を出したシーンがあり、心が動かされた。
これ以外にも『半分、青い』では、今の自分の胸に刺さるセリフが多い。
「人生のイニシアチブは自分でとる」。
— 7931 (@wed7931) June 25, 2018
自分はそうしたいタイプで、生まれてからそうしてきたけど、いつの間にかイニシアチブがとれていなかった。
それは苦しくなるわけだ。
これからはもう一度、イニシアチブをとれるようにしたい。#半分青い
「自分で考えちゃダメなのか」
— 7931 (@wed7931) July 20, 2018
「考えたい」
「私の空はどこだ」
「潮時かなって」
鈴愛の言葉のひとつひとつが、今の自分に刺さる。#半分青い
#半分青い
— 7931 (@wed7931) August 23, 2018
律が自分に重なって見える。
ドラマでの律の年齢と今の自分の年齢がほぼ同じだから余計に。 https://t.co/dNeLoee4B0
北海道新聞のコラム『卓上四季』。
— 7931 (@wed7931) August 24, 2018
清が律に言った「井の中の蛙大海を知らず、されど空の青さを知る」、
鈴愛の「この世は両耳聞こえる人用にできとる。私のためにはできとらん」が紹介されている。
どちらも自分が気に入っているセリフ。 #半分青い
半分、青い:北海道新聞 https://t.co/g6are6VIYY
・律は看板に守られて生きてきた。
— 7931 (@wed7931) September 7, 2018
・律は精神的に弱いところがある。
うん。
やっぱり、律は自分なんじゃないか。#半分青い
これがしたいはなかった。
— 7931 (@wed7931) September 9, 2018
これは嫌だはあった。#半分青い
この朝ドラに自分が動かされそうな気がしている。
特集「間違いから発展した数学」~『数学セミナー 2018年9月号』読書メモ
『数学セミナー 2018年9月号』の特集は「間違いから発展した数学」です。
数学セミナー 2018年 9月号 間違いから発展した (数学ゼミナー)
- 発売日: 2018/08/10
- メディア: 雑誌
数学での間違った証明や命題が新しい理論などを生んだ例が7つ *1 の記事で説明されています。
平行線公理
ユークリッド『原論』の第5公準(平行線公理)を他の公準から証明しようとする試みがあったことはよく知られていると思います。
その中で起こった非ユークリッド幾何(双曲幾何)の誕生について書かれています。
関連した話題が『数学ガール/ポアンカレ予想』第4章に書かれています。
また、『数学セミナー』2017年4月号~2018年3月号で連載されていた足立恒雄さんの「よみがえる非ユークリッド幾何」も参考になりそうです。 *2
関数の連続性についてのコーシーの誤り ― 反例が導いた厳密な概念
(現代の)解析学でよく知られた次の定理に関する話題です。
区間 上の連続関数の列 を考える。 上の関数 を、 各 に対して で定義する。
このとき、関数列 が区間 上で関数 に一様収束するならば、 は で連続である。
この一様収束という条件がどのような議論により導かれたかが説明されています。
ポアンカレ予想
最初のポアンカレ予想はホモロジー群を使った主張でしたが、議論を進める中で誤りであることがわかり、基本群を使った今日のポアンカレ予想になりました。
この記事では、以下のことが書かれています。
最後の節に書かれている論文で予想を述べる重要性も勉強になりました。
ルベーグの間違いと記述集合論の誕生
ルベーグによるボレル集合に関する誤った命題から記述集合論が生まれた経緯が書かれています。
σ-代数、ボレル集合、ディリクレ関数 *4 など、自分が忘れていたことを思い出させてくれました。
間違いと真理 ― 解析学と集合論の場合
自分にとって土地勘がない分野なので読むのがややしんどかったです…。
キーワードは、超準解析/選択公理/ZFC集合論/無限小などでしょうか。
印象的な言葉はこれでした。
古典的な(つまり20世紀中盤くらいまでの)解析学はすべてZFCの中に余裕で展開できると断言できます. [本文より引用]
4色定理の証明 ― 小さな誤りから大きな問題への道
4色定理の「証明」が1879年に出されましたが、約10年後にこれが誤りであると指摘されました。
この誤った証明がどのようなものだったかが、「6色定理」と「5色定理」を使って説明されています。
『数学ガール/ポアンカレ予想』第10章 読書メモ
『数学ガール/ポアンカレ予想』第10章の読書メモです。これが最後の章になります。
- 作者:結城 浩
- 発売日: 2018/04/14
- メディア: 単行本
第10章のタイトルは「ポアンカレ予想」。
この本のタイトルであるポアンカレ予想を読み解きます。
これまでの幾何学を中心とした数学の準備がどのように結実するかが楽しみです。
なお、第9章の読書メモはこちらです。
【目次】
- 第10章のキーワード
- ポアンカレ予想の主張からわかること
- ペレルマンによるポアンカレ予想の証明と物理との関係
- 数学の論文検索はMathSciNetしか知らなかった
- 《知らないふりゲーム》の具体例がわかりやすい
- 最初のポアンカレ予想はホモロジー群を使ったものだった
- おわりに
第10章のキーワード
ポアンカレ予想の主張からわかること
フェルマーの最終定理の主張は小学生でも十分に理解が可能ですが、これに比べるとポアンカレ予想の主張は少し難しいです。
ペレルマンによるポアンカレ予想の証明と物理との関係
証明のいくつかのポイントは本文に書かれています。(サーストンの幾何化予想やハミルトンプログラムなど)
その証明の中では、リッチフロー方程式が使われています。
本文によると、次のように言えるようです。
- 物理学の熱方程式に対応するものがリッチフロー方程式
- 熱方程式の温度に対応するのが、リッチフロー方程式のリーマン計量(から計算されるリッチ曲率)
一見して無関係のように思えますが、本文を読んでいると「なるほど…」という気分になりました。
特に、曲率と温度の均一化をイメージさせる表現がある次の部分が印象的です。
- 355ページ
- 364ページ~367ページ
- 376ページ
数学の論文検索はMathSciNetしか知らなかった
数学科の学生時代('00年代前半)は、論文検索でMathSciNetをよく使っていましたが、arXivは知りませんでした。
MathSciNetとarXivについては以下のサイトに詳しく書かれています。
《知らないふりゲーム》の具体例がわかりやすい
『数学ガール』シリーズでは、《知らないふりゲーム》がよく出てきます。
本文に書かれている例が非常にわかりやすいと感じました。
ただの集合にどんな構造を入れると、何が議論できるかをまとめておきます。
最初のポアンカレ予想はホモロジー群を使ったものだった
ポアンカレ予想の変遷は、『数学セミナー 2018年9月号』の特集「間違いから発展した数学」でも取り上げられていました。
数学セミナー 2018年 9月号 間違いから発展した (数学ゼミナー)
- 発売日: 2018/08/10
- メディア: 雑誌
『数学ガール/ポアンカレ予想』第9章 読書メモ
『数学ガール/ポアンカレ予想』第9章の読書メモをまとめます。
- 作者: 結城浩
- 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
- 発売日: 2018/04/14
- メディア: 単行本
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第9章のタイトルは「ひらめきの腕力」。
ここまでで最後の第10章で必要な数学の準備が終わります。
個人的には、ここ1年ほどで復習している数学の内容が含まれていて、とてもいい頭の整理になりました。
なお、第8章の読書メモはこちらです。
【目次】
第9章のキーワード
フーリエ展開でハッとした2つの言葉
『数学セミナー 2018年3月号』の特集記事で、フーリエ級数について復習していたので、第9章は頭の整理に最適でした。
そして、次の2つの言葉はとても印象的で、ハッとしました。定義や定理の表面だけを見ていると気付きにくいのかなと思いました。
「なるほど……ところで、 という関数はもう十分に簡単な形になっていますよね。それをわざわざ三角関数で表す意味はあるんでしょうか。テイラー展開はわかるんです。 という難しいものを、 というやさしい形で表すんですから。でも……」 (330ページ)
数学に必要なものって?
この章で最も印象的だったのは、定理や数式そのものではなく、冒頭の「9.1.1 ひらめきと腕力と」の内容でした。
「自分にはひらめきも腕力も足りていない。特に腕力が足りない」というのが率直な感想です。
そして、9.1.1節と似たようなことが『数学セミナー 2018年9月号』の特集「間違いから発展した数学」に書かれていました。野家啓一さんの「間違いの意義と創造性」という記事です。
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2つを合わせて読むのをおすすめします。
おわりに
残すは最後の第10章です。
これまでは、各章を読んでブログを書いた後に次の章を読んでいました。
今回は、第9章を読んだ勢いでそのまま第10章を読みました。
それでは、第10章のまとめ記事を書き始めましょう!