球面上の三角形を見ていて思ったこと
子どもたちと直角三角形の話をしていて、球面上に3つの直角を持つ三角形を書くことができることを説明しました。
子どもたちが宿題をしながら「直角を持つ二等辺三角形はあるのかなぁ?」と話をしていた。
— 7931 (@wed7931) 2018年12月6日
これは三角定規の話をして解決。
そこで「全部の角が直角の三角形はあると思う?」と聞いてみた。
ということで、ボールにそんな三角形を描いた。
「学校に持っていったら友達に自慢できる!」と喜んでいた。 pic.twitter.com/XbKgZMgmx5
三角形が書かれたボールをぼんやり眺めていると、いろんなことが頭に浮かんできました。
幾何学の問題を考えるってこういうことなのかなぁ…と。
頭の中にあることをメモに書いてみました。あまりまとまりがないのはご容赦を。
幾何学への苦手意識が薄れると、こういう発想もできるようで楽しくなってきました。
2018年の数学活動を振り返る。
あと20日ほどで2018年が終わります。
何もしていなかったようで、たぶんいろいろやっていた2018年。
振り返りたいことはたくさんありますが、この1年でやってきた数学の活動について振り返ってみます。
【目次】
MATH POWER 2018に参加
私にとって初めて数学イベントに参加したことが、最も大きな出来事です。
学生時代以来、たっぷりと数学に浸れて、とても幸せな気分でした。
来年も数学イベントに参加して、今度はいろいろな方と交流できればと思います。
幾何系に興味を持ち始めた
中学以来、幾何学には相当な苦手意識がありました。(こちらに詳しく)
しかし、昨年4月から定期購読している『数学セミナー』の特集や『数学ガール/ポアンカレ予想』を読んで、幾何学に興味が出てきました。
リーマン計量、ホモトピー、ホモロジーなど、学部時代に理解できなかった内容がようやくわかってきて、幾何学が楽しくなってきました。
来年もこの流れは続くように思います。
13年ぶりに表現論を勉強し始める
Twitterで数学関係のツイートを見ていると、リー群の表現論と物理との関係が目に付くようになりました。
大学院時代の専門がリー群の表現論だったので、「改めて理解したい!」と思うようになりました。
ということで、私の指導教官が書いた『表現論入門セミナー―具体例から最先端にむかって』を使って、表現論と物理の関係の勉強を10月から始めました。
ゆっくりと読んでいて、ようやく第1章が読み終わりそうです。
物理との関係も少し出てきて、今後が楽しみです。
特集「幾何の概念のアイデア」~『数学セミナー2018年12月号』読書メモ その2
『数学セミナー 2018年12月号』の特集は「幾何の概念のアイデア」です。
- 出版社/メーカー: 日本評論社
- 発売日: 2018/11/12
- メディア: 雑誌
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前回のまとめ記事はこちらです。
今回は、6個の記事のうち中盤の2個のメモを紹介します。
ファイバー束
キーワード
ファイバー束の概念
- 空間の族や、各点ごとに値域が変わるような一般化された関数を記述するための1つの手法
ファイバー束
- いわば、「ねじれた直積」を記述する手法
- ファイバーと局所自明化
ファイバー束の例
ファイバー束の構造群
- 複数のファイバー束の関連を考えるための概念
- 変換関数
- 例:ベクトル束、接束、主束
ファイバー束の切断
- 各点ごとに取る値の空間が変わるような一般化された関数を記述する手法
- 例:滑らかな多様体上の連続ベクトル場
ファイバー束の分類問題
- 引き戻し、分類空間、分類写像
コホモロジー
キーワード
特異コチェインの性質
1年前の特集でもホモロジーがあった
『数学セミナー 2017年12月号』の特集で、ホモロジーが扱われていました。
図形的イメージは、2017年12月号でより詳しく書かれています。
そのときのまとめはこちらです。
wed7931.hatenablog.com
wed7931.hatenablog.com
ド・ラームコホモロジーとド・ラームの定理について、今回の記事では数式を使って詳しく書かれています。
特集「幾何の概念のアイデア」~『数学セミナー2018年12月号』読書メモ その1
水曜どうでしょうDVD副音声でグッときた話(随時更新)
『水曜どうでしょう』が大好きで、気づいたらファン歴が20年になりました。
『水曜どうでしょう』は2002年9月にレギュラー放送が終了し、これまでの企画が順次DVD化されていて、すべてのDVDを買っています。
レギュラー放送された企画は、VHSで文字通りテープが擦り切れるほど見ていて、内容はほとんど頭に入っています。
なので、自分の楽しみはDVDの副音声です。
振り返って聴きたい副音声をまとめます。
副音声では、ディレクター陣と出演者がロケ当時の話などをしています。
それに加えて、番組の作り方のポリシーや生き方のような話をしています。
まるでラジオのような感じなので、運転中にラジオ代わりに聴いています。
中でも、生き方に関する内容にグッとくることが多いです。
これについては、振り返って聴きたくなります。
このエントリでは、どの企画の副音声でどんな話をしたかを、自分のメモのためにまとめます。
なお、随時更新する予定です。
粗大ゴミで家を作ろう(出演者:D陣、ミスター)
- 映像は物事を伝えすぎてしまう。
- 一方で、小説などの活字やラジオは、伝えたことプラス受け手の想像力で伝えるメディアである。
ヨーロッパ21ヵ国完全走破 第7夜(出演者:D陣、ミスター)
- 「妥協」は必ずしも後ろ向きなことではない。
- 人と人は違って当たり前。
- 恋愛などではまずは共通点を探し出すけど、もともと合わないんだから合えばラッキー。
- だから、みんなが1つの方向に向かって進むのは、かえって気持ち悪い。
- 「どうでしょう」はその中での葛藤を見せている番組。
カントリーサインの旅2 第2夜(出演者:D陣、ミスター)
- 目の前にあるもので楽しいものを自分で作る楽しさ
- 子どもは積木ひとつでずっと遊んでいられる。自分で楽しいことを作れる。
- 今は一から十までお膳立てされている状態で楽しむことが多い。
桜前線 第1夜(出演者:D陣)
アメリカ横断 第2夜(出演者:D陣、ミスター)
夏野菜第2~3夜(出演者:D陣、安田さん)
- 安田さんと自分の考え方は似ているかもしれない。
サイコロ6 第1夜(出演者:D陣、ミスター)
- 自分はもともと欲がないけど、欲がある振りをしていたのかも。
30時間テレビ 第2夜(出演者:D陣、安田さん)
- 安田さんは「考える/掘り下げる」ことで多忙なんじゃないか。
- 「我が強い」と言われる。
試験に出る石川富山 第1夜(出演者:D陣、ミスター)
- 一からものごとを理解することが大事。
- 経験が大事。
- 順序立てて考えよう。
- 今は出来合いのものしか見えない社会
試験に出る石川富山第3夜(出演者:D陣、安田さん)
- 「何を了解して先に進むか」が人によって違う。
四国八十八か所2 第1夜(出演者:D陣)
- 大泉さんは負け戦のプロ
- 今の閉塞感のある日本に必要
原付西日本 最終夜(出演者:D陣、大泉さん)
- 今のディレクターがやっているのは護岸工事。
- 結論まで決めてしまっている。
原付西日本 最終夜(出演者:D陣、大泉さん)
- 今のディレクターがやっているのは護岸工事。
- 結論まで決めてしまっている。
ユーコン川160km 第3夜(出演者:D陣、ミスター)
- 今はみんなが用もなくあくせくしている。なぜなら、忙しいのが美徳と思われているから。
- 「最近忙しい?」「いや全然!」というやりとりが、それを表している。
コスタリカ第1夜(出演者:D陣)
- 熱量を持った人が熱量を持ってものごとを始めるのが大事。
- そうしないと責任の所在がはっきりしないまま終わる。
- だから、何か問題が起こったら、誰も責任を取らなくなって、うやむやになって終わる。
コスタリカ第2夜(出演者:D陣)
- 本当にコミュニケーションが取れた社会になっているか?
- 今はみんながルールを守りたがる。そうすることで面倒なことがなくなってコミュニケーションを取らなくて済むようになる。
- ★この回の副音声はすごく濃厚な内容
コスタリカ第3夜(出演者:D陣、ミスター)
- 組織と多様性
5周年記念深夜バスだけの旅 第1夜(出演者:D陣)
- わかりやすさを追求しすぎることの弊害
試験に出る日本史 第4夜(出演者:D陣、ミスター)
- 体や心が弱っている人の話
- 笑うのが大事。
- すべてをあきらめる。
- つらいことはつらい。
- あるがままを受け入れる。
- 晴耕雨読な生活
四国八十八か所3 第1夜(出演者:D陣、ミスター)
- 若いときは新しいことにチャレンジする。でも歳をとると…。
- 「山の頂上に登る」と「山の裾野を360度見回す」では、見える景色が変わる。
- 自分は波に追いつけなかった。無理して追いついていたんじゃないか?
- やり残したことは?
- ★この回の副音声はすごく濃厚な内容
四国八十八か所3 第5夜(出演者:D陣、森崎さん)
- 若いときは自分の我を通すことが正義だと思っていた。
日本全国絵ハガキの旅2 第1夜(出演者:D陣)
- がんばらないようにするために、一度レギュラー放送を終わらせた。
釣りバカ屋久島 第1夜(出演者:D陣、安田さん)
- 安田さんは撮影現場で「安田さんはクラフトマンですね」と言われた。
- 周りの人が長い目で見てあげる。
前枠・後枠傑作選 第1夜(出演者:D陣、ミスター)
- 結末が決まっているものや予定調和はおもしろくない。
- 『水曜どうでしょう』という番組は人間の葛藤を映し出している。
DVD発売記念!「6年間の事件簿! 〜今語る!あの日!あの時!〜」(出演者:D陣、ミスター)
- ミスターの考え方と自分の考え方が似ている点
- ものごとを始めたら、中途半端にはやりたくない。
- ある程度のグレードまでは持っていきたい。
- 一方で、逃げの気持ちがある。
- 早くこの場から解放されたい!という気持ち
- だらだらやるのは嫌い。
- ミスターは韓国の映画修行に行って、この考え方が変わったらしい。
ミスター映画勉強壮行会
※DVD第5弾(212市町村1/宮崎/韓国)の特典映像の主音声
note.mu
西表島 第6夜(出演者:D陣、安田さん)
- 嬉野さん:常に終わりを考える。
- 自分にとって、「終わり」は何か?
- 安田さん:リーダーシップを取らずに、流れに乗っていきたいタイプ。
ヨーロッパ20カ国完全制覇完結編 第1夜(出演者:D陣)
- アニメや映画に出てくる勧善懲悪“ではない”世界
- 悪役とはいかないまでのキャラクターの存在が大事
ヨーロッパ20カ国完全制覇完結編 第2夜(出演者:D陣、ミスター)
- 間違っていようが正しかろうが、前に進めることも大事
ヨーロッパ20カ国完全制覇完結編 第4夜(出演者:D陣、ミスター)
- これまでに立ててきた目標はほとんど達成できていないのが実態。
- 目標を達成するのはかっこいいけど、↓に書いているようなことも大事。
- できないことはできない。
- 勇気ある撤退
- 正直に言う。
- あっさりとあきらめる。
- どうでしょうは男4人の旅。女性がいないのがポイントかもしれない。
- 海外でも通じるような番組かも?
- ★この回の副音声はすごく濃厚な内容
全般的に
- 先のことを決めると苦しくなる。だから、先のことは決めない。
- 自分が楽なように生きる。
- 人間は強くない。(それが自然)
射影表現と表現群~『表現論入門セミナー』読書メモ その2
『表現論入門セミナー―具体例から最先端に向かって』の読書メモ第2回です。
- 作者: 平井武,山下博
- 出版社/メーカー: 遊星社
- 発売日: 2003/11/01
- メディア: 単行本
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いろいろな表現(§1.2)
群 のいろいろな表現が、誕生した経緯とともに説明されている。
置換表現
有限群 の置換表現とは、 から 次対称群 への準同型のことをいう。
線形表現
ベクトル空間 上の可逆な線形変換全体がなす群を と書く。
のときは と書き、これは正則な 次正方行列全体である。
群 の線形表現とは、準同型 のことをいう。
線形表現の指標
線形表現 の指標 は、各 で で定義される。これは の1次元表現になる。
分数変換と表現
次正方行列 に対して、分数変換 を次のように定義する:
に対して、 の第 成分が と書かれる。
ここで、 に注意する。
すると、 は の表現に見える。これが 次元の複素射影空間上の表現になるようだ。 *1
射影表現を線形表現に直せるか?
表現論で最も重要な数学者であるシューア *3 が考えたのは、「任意の射影表現をスカラー倍で修正して、線形表現に直せるか?」ということだったという。
つまり、射影表現 について、 を に置き換えて線形表現が得られるかということである。
この答えを、中心拡大という概念を使って得た。
シューアの問題の答え
有限群 の適当な中心拡大 を取れば、 の任意の射影表現が の線形表現になる。
表現群
中心拡大のうちで最も‘効率的’なものはすべて有限群で、同型を除いて有限個のみであることが知られている。
これを の表現群という。
表現群の具体例
次対称群と交代群の表現群は§1.2.4~§1.3.2で説明されている。
*1: の定義の分母が0になるときの対処に関係する。
*2:定数倍を同一視している形なので、まさに「射影」という言葉がぴったりだと思った。
*3:本書では、「シュア」と綴っている。
*4:『数学セミナー 2018年11月号』 P76で完全系列について言及されている。(連載「双対と表現」第2回)
置換群とその表現群~『表現論入門セミナー』読書メモ その1
買ってから14年経ってようやく『表現論入門セミナー ― 具体例から最先端に向かって』(平井武・山下博)を読み始めました。
- 作者: 平井武,山下博
- 出版社/メーカー: 遊星社
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私が学生時代に専門にしていたリー群の表現論について書かれた本で、物理との関係についても触れられています。
Twitterを通じて表現論と物理の関係に興味を持ち、この本を読み始めました。
自分の頭の中を整理することを目的として、読書メモを書いていこうと思います。
まずは第1章の§1.1~§1.3にあたる内容をまとめます。
置換群の復習
次対称群 の性質についての復習(§1.1.1)
- 巡回置換
- 互換
- 単純置換(互換のうち、 で表せるもの)
- 偶置換と奇置換
- すべての偶置換を集めた 次交代群
と の生成元系
- 自由群と基本関係式の復習(定理1.1)
- の生成元系の具体的表示(定理1.1)
- の生成元系の具体的表示(問題1.3、問題1.4、定理1.3)
と の表現群
※表現群の定義は次回に説明する。元の群を大きくして表現を拡張するようなイメージ。
- の表現群:§1.2.4
- は例外(§1.3.1)
- の表現群:§1.3.2
- は例外
本文中に 重の被覆群という用語が出てくるが、詳細な定義は後の章で述べられる。
外部自己同型群
群 の外部自己同型群の定義が書かれていなかったので、ここにメモしておく。
- 自己同型群
- から への群同型全体
- 内部自己同型群 *3
- が引き起こす自己同型 (内部自己同型)の全体
- 外部自己同型群
*1:15パズルは 数学セミナー 2017年 10 月号 32ページにも記載あり。参考: 「数学セミナー 2017年10月号」の読書メモ ~ その2 - 7931のあたまんなか
*2:難しくて読み切れなかったが、基本群との関係が気になる。
*3: と書いた本もある。